高額借金の理由

『ヴェニスの商人』主人公の一人、ヴェニスの貧乏貴族バッサニオ。

バッサニオはベルモント島のポーシャに一目惚れして、プロポーズにやってきます。

アントニオの身体を担保にしてシャイロックから借りた三千ダカットで用意したのは?

豪華な船と
音楽と
何十人もの従者と
世界中から集めた素晴らしい宝物の数々
花に果物に絹に・・・

一体なぜそれほど飾り立てたのでしょう?

ほかのプロポーザーたちよりも豪華にしたいから。

当時、結婚は、お金の量で決まりました。

だからバッサニオが、ポーシャもお金で結婚相手を判断すると考えても不思議はありません。

しかし他のプロポーザーたちは、モロッコの王子や、アラゴンの王子や、ザクソン皇帝の甥や・・・と名だたる資産家ばかり。

(ちなみに、そこに列挙される名前は、エリザベス1世の結婚相手として候補に挙がった人々です!)

バッサニオはそれに勝たなくてはならなかったので、3000ダカットもの金が必要だったのですね。

大資産家のポーシャとしては、結婚をどう考えていたのでしょう?

【今日のライブインタラクション】
あなたがものすごいお金を持っていて、それを管理しなければならないとして、娘の結婚相手に貧乏な人を選びますか?

別に好きだからではなく

『ヴェニスの商人』を音楽劇にして上演する日が2週間後に迫りました。
ワクワクします。
すばらしい曲と、歌い手と、芸達者な俳優たち、優秀なスタッフ。
わたしはポーシャを演じます。
歌もあります。

昨日は、一日中、大道具、小道具を作っていました。
まだまだセリフも完璧ではないので、焦ります。

私が演じるポーシャは、いかようにも演じることができるので、どんな人にしようか、いろいろ試しています。

彼女は、バッサニオに恋をしているらしいのですが、
いざバッサニオが箱選びに登場した際には、

「どうも、なぜか心の声がするのだけれど、
べつに好きだからではありませんのよ、
でもあなたを失ってはいけない気がしています」

ですって。

まどろっこしいやっちゃ。

【今日のライブインタラクション】
好きな人の前でどれくらい虚勢を張りますか?

シナゴーグ:最後の拠り所

『ヴェニスの商人』の悪役シャイロックはユダヤ人。

シェイクスピアのいた時代、ヴェニスはとても自由な共和国でした。
何をするにも自由。
キリスト教国であるのに、飲酒や売春もあけっぴろげに自由だったので、外国人も大勢住みにやってきました。

けれどユダヤ人だけは、特別居住区ゲットーに押し込まれたのです。

ゲットーは門で区切られており、その門は日の出と共に開かれますが、日の入りと共にガチャンと鍵をかけられ、ユダヤ人は狭くてゴミゴミした小さな居住区に閉じ込められてしまいます。

なんと辛い暮らしでしょう。

彼らにとっての心の拠り所は、信仰。

祈りを捧げる場所のことをシナゴーグと言います。


写真の左上のドームがそれですね。

シャイロックは、娘ジェシカに裏切られ、アントニオの船が難破したことで貸した大金が戻らなくなった二重苦に落ち込んだ時、「シナゴーグへ、シナゴーグへ行こう」と繰り返します。

祈るしかなくなってしまったのですね。

【今日のライブインタラクション】
あなたの心の拠り所はなんですか?

『ヴェニスの商人』の指輪3

『ヴェニスの商人』の主人公ポーシャは、結婚相手となるバッサニオに指輪を送ります。

バッサニオは訳あってすぐにヴェニスへ旅立つのですが、ポーシャは密かに後を追います。

バッサニオは親友アントニオの窮地を救おうとしているのですが、うまくいきません。それを男性に変装したポーシャが助けます。

バッサニオは感激して、男装したポーシャに「何か記念の品を差し上げたい、なんでも好きなものを言ってください」と告げます。

ポーシャが注文したのは、そのバッサニオの指にはまっている、ポーシャがあげた指輪!

「その指輪を外したり、無くしたり、誰かにあげたりした時は、あなたの愛の終わりの始まり」

と言われ、バッサニオ自身が「決してそのようなことはしないと誓います」と誓った、その指輪です。

バッサニオは指輪をあげ渋るのですが、親友アントニオに、「奥さんの命令ではめている指輪を、僕のためにあげてくれ」と頼まれると、いとも簡単に男装したポーシャに渡してしまうのです。

皆さんなら、指輪を渡しますか?

ちなみに、男装したポーシャは、アントニオの命を救ったのです。アントニオにとっては、命の恩人、なんとしてもその「男性」にお礼をしたい、と思っています。

【今日のライブインタラクション】
誰にもあげませんと誓ったものを、大変世話になった人が欲しいと言ったら、どうしますか?

『ヴェニスの商人』のモチーフ、指輪2

『ヴェニスの商人』の敵役シャイロックが根っからの悪人ではないことがわかる唯一の鍵が、ただ1行に込められた、妻からの指輪であることを前回、お話ししました。

指輪は、『ヴェニスの商人』では重要なモチーフになっていまして、主人公の一人、ベルモント島の当主ポーシャは、愛の約束の印に、結婚相手となるバッサニオ に指輪を渡します。

“I give them with this ring,
Which when you part from, lose, or give away,
Let it presage the ruin of your love,
And by my vantage to exclaim on you.”

「私も私の財産も召使いもすべて、この指輪と共に差し上げます、
もしもこれを外したり、無くしたり、誰かにあげたりした時は、
それがあなたの愛の破滅の訪れ、
私はあなたを怒鳴りつける権利を行使しますわ」

ルネサンス時代、妻は夫の所有物でした。
けれどポーシャは、指輪がその象徴で、それが指にはまっていないとなると、
結婚は形式だけのものとなり、私もあなたを尊敬しませんからね、自由にしますから、と宣言したわけです。

【今日のライブインタラクション】
妻と夫の関係、対等ですか?

『ヴェニスの商人』のモチーフ、指輪

“One of them show’d me a ring that he had of your daughter for a monkey.”

「そのうちの一人が指輪を見せてくれたよ、あんたの娘さんから、猿1匹の代金として受け取ったと」

『ヴェニスの商人』の敵役ユダヤ人シャイロックの娘ジェシカはキリスト教徒のロレンゾと駆け落ちして、途中、ジェノヴァに立ち寄ったという報告が入ります。

シャイロックは大枚を叩いてイタリア中を探させたんですね。

ちなみにヴェニスとジェノヴァは、イタリア半島の東側と西側。
東京湾がヴェニスなら、ジェノヴァは新潟港という感じです。

ここでジェシカが、猿1匹の代金として払ったのが、指輪。

それを聞いてシャイロックは

「あの指輪が、俺が妻のリアから新婚時代にもらったもの。それを猿と交換とは・・・」

と絶句します。

私はこの科白、泣けて仕方がありません。

戯曲全体を通じてわずか1行で語られるシャイロックの過去、青春、愛。
穏やかで幸せだった新婚時代・・・

ジェシカはそれを知る由もなく、ペットの猿1匹と引き換えに、渡したのです。

指輪に込められた過去と絆と思い、それを猿と交換した娘。

もしかしたらジェシカは指輪に込められた父シャイロックの思いを知っていて、なおかつ自分が引くユダヤの血を軽蔑して捨てるが如く、指輪を手放したのかもしれません。

【今日のライブインタラクション】
自分の出生を嫌ったことがありますか?
手放したいと思ったことがありますか?

シャイロックの家族愛

前回のレッスンでは『ヴェニスの商人』では悪役のシャイロックを、娘を溺愛する父親として演じてはどうかと提案しました。

娘を溺愛すると、溺愛された娘は父親をうっとおしく思うでしょう。好きな人との結婚も反対されるのがわかっていれば、さっさと家を逃げ出したいと思うでしょう。

溺愛する方は、なぜ自分が嫌われるのか、わからないでしょう。そして裏切られたと思うでしょう。
可愛さ余って憎さ百倍、ということわざが日本にもあるくらいですから、逃げた娘のことを悪く言い、人前では、お金の方が大事だといって虚勢を張るでしょう。

私がイギリスに住んでいた頃、同じロンドン大学大学院の同級生に、ユダヤ人が何人もいました。みな、普通の格好をして、恋もするし、キリスト教徒の他の人たちと一緒に飲みに行くし、なんら分け隔てなく大学生活を過ごしていました。

その彼らに聞いた話に、家族愛について、があります。

「ユダヤ人は家族をとてもとても大切にするの。国家がないから、余計に、血の絆が心のよりどころなの。そのうえ、jewish princess (ジューイッシュ・プリンセス)という言い回しがあるくらい、ユダヤ人は一家の娘を舐めるように可愛がるのよ。ドレスに宝石、髪型、すべて両親が着飾って、なんでも言うことを聞いてしまうから、ユダヤ人の娘はものすごくわがままでおしゃれで気の強い甘えん坊になるの」

幸いにこれを知っているからでしょうか、シャイロックとジェシカの関係が、このセリフの通りに演じると、とてもスッキリ納得がいくように思われます。

皆さんはいかが思いますか?

【今日のライブインタラクション】
親が溺愛すると、子供はどうなりますか?子供の態度や気持ちは?

シャイロックを善人にするには*プロの俳優・演出家用

台風一過、お怪我や被害を受けた方にお悔やみ申し上げます。

さて、先日のメールレッスンで、

シャイロックがただの悪人にならないために、
どんな演出をしますか?

という質問をしました。

答の中には、

シャイロックが裁判で補償金を受け取ってくれればなんの問題もなかったのに!

というのがいくつかあり、しばし笑わせて頂きました。

いやはやまさにその通りですものね!

が、シェイクスピアはシャイロックに、最後まで補償金の受け取りを拒絶させます。

戯曲に沿って、シャイロックをただの悪者にしないためには、私たち観客がシャイロックに共感する必要があるのです。

私はその共感ポイントは、娘ジェシカに対する態度だと思っています。

【今日のライブインタラクション】
娘を目の中に入れても痛くないほど溺愛するシャイロックを演じてみよう。

お待たせ!音楽劇『ヴェニスの商人』はこちら

9月27日にオペラ上演をひとつ終わらせて、次の日は片付けと舞台装置の買い出し、昨日は、次の公演、10月21日の『ヴェニスの商人』の稽古が本格的にスタートしました!

シェイクスピアの名作『ヴェニスの商人』が音楽劇に!

わかりやすくて、
面白くて、
楽しくて、

そして何より曲が・・・・・

す、素晴らしい!!

オペラの稽古と並行して猛暑の中、作曲に取り組んで来た加藤千晶は、天才か!というほどの見事な曲作りで、三輪えり花、脱帽しまくりです。

本当に素晴らしいのです。

この企画、山梨中央銀行石和支店の石和中銀会40周年記念事業で、太っ腹な無料公演

この感動を味わいに、ぜひぜひ、美しい秋の石和温泉郷へ!

この秋は、9月、10月、11月と短い期間に立て続けに大きな舞台が入ってきたので、リハーサルを6月から分散して始め、各自、演出プランや台詞、大体の動きや役作りなどを個別に済ませて来ています。

なんだか映画撮影のような作り方です。

個別に稽古や役作りを済ませて短期間でガッと仕上げる、というのは、かなり力のある俳優でないと難しいので、10月の『ヴェニスの商人』は選りすぐりを集めています。

感動の名作になること間違いなしです。

この名作で心を震わせ、終演後はぜひ
石和温泉で秋の栗と梨と甲州ワインと甲州ビーフを堪能していってください。

自称、石和温泉大使の三輪えり花です。

ご観劇には予約が必要です。
そして、ご予約したら必ずお越しくださいね。
座席数が限られていますので残念な空席を出さないようにお願いいたします。

ご予約は、山梨中央銀行石和支店 石和中銀会40周年記念事業事務局 055 262 2281

またはこちらのフォームから

オペラ遊び語り

オペラを上演してきました!

お写真付きでブログに掲載しています。

オペラ遊び語り2018

今日は後片付けと、次の『ヴェニスの商人』音楽劇のための舞台装置のための買い出しに。

息つく暇もありませんが、お客様に喜んでいただけるのが私の生きがいで喜びです。

 

【今日のライブインタラクション】

誰の役に立っていますか?