アラブ国際演劇祭2019概観 ATF2019

アラブ国際演劇祭の中身報告です。

演劇の話です。
この記事では演劇の話しかしません。
アラブの演劇
イスラム圏の表現の自由
イスラム圏の女性俳優の立場
イスラム圏の家庭
イスラム圏の(エジプトの)家の中
イスラム圏の夫婦の関係
イスラム圏の男性が女性を見る視点
などに興味のある方は、面白いかもしれません。

1 失敗はプレミアム

アラブ国際演劇祭2019のパンフレット表紙と裏表紙。
1センチくらいの厚さで20センチ四方くらいのもの。
写真は、70年代の日本の絵はがきみたいな感じ。
人の顔がとてつもなく多い。
関係者の顔は全部だす、みたいな。

わたしがいただいたものは、途中でページが切れてなくて、半分くらい逆さまになっていた。
ページが切れていないので、中がみられないのね。
隙間から覗くだけ。
いわゆる、乱丁になってしまったんですな。
なんかかえってプレミアム感があって、ページを切らずにそのまま持って帰ってきました。

2 村の真実、外には見せない顔がここに

進行表
こちらがコピーでもらった進行表。

フォンタナというレストランで、朝食・昼食・夕食の時間が書いてある。
たしかに時間と時間の合間には、メインのプレートなんかは片付けられてしまうだが、午前9時から、ホテル3階の会議室階で、出演者用のワークショップや、記者用のインタビュー、アラブで演劇をやる意味における研究発表などが15時までやってるわけ。

で、準備や報告などで朝食・昼食時間にいられない人も多い。
その人たちのために、会議室階のロビーエリアにも、会議室内にも、常にお茶とお菓子とサンドイッチなどの軽食が用意されている。
すごいなあ・・・

おもてなしっていうか、参加者第一で、すごく行き届いている。

正直、アラブ諸国でこういうことが行われていることにびっくりした。

三輪えり花さん、偏見ですよ、と言わないで。

本当に何も知らずに、アラブ諸国ってイスラム圏でしょ、いわゆる西欧キリスト教文化圏を嫌いなんだよね、という偏見というよりも、「無知」で訪問したのですから。

三輪えり花、無知を自慢するより、調べてから行ってはいかがですか、と思うでしょう?

わたしはリサーチは案外欠かさないタイプですが、アラブの演劇ですよ。

わかるわけないでしょ。

こちらの文化(日本や欧米)にやってくるのは、アラブ諸国では迫害されているような、人権派だったりするわけですから、実際にアラブの国ってのはどうなってるの?というのは、なかなかわからない。

アラブ諸国に行ったり駐在している人にも聞くけど、彼らは日本人として、ビジネスとして、あるいは政府関係者として、いわゆる、対日本人としての応対を受けている。

このアラブ演劇祭は、純粋に、アラブ諸国用で、キリスト教文化圏とか別の言語の国の人などを一切、対象にしていないわけです。

ね?

日本で言えば、村以外の人には優しく対外的な対応ができるけど、村の中では、村の出身者以外はわからない掟や風俗がある、という状態のところに行ったわけですよ。

興味津々でしょう?

3 字のうまいへたってあるんですか?アラビア語。

メンバーズパス手書きで、線から上は、「観劇者」線から下は「三輪えり花」さらにその下に「日本」と書いてある。

他のアラブ人たちが、
「これ書いたの、誰?すごく上手いね、ぼくのなんかこんな字だよ」
とみせてくれるが、へたかうまいかまったくわからん。

裏には、どのお芝居のチケットを購入済みかチェックする欄がある。
横段が、劇場。
一番下のオレンジの欄が、先日のブログで書いた、シグネチャー作品のこと。オペラ劇場中庭での「夜の旅行者」です。
それ以外の劇場は三つだと思っていたら、四つですね。
1日のうちに見るのが三つで。

4 参加するって大変だ   

演出家、演劇教師、演劇研究者、文化担当官ら。
演出家と演劇教師には俳優を兼ねる者も多い。
招聘された女性はイラク、イスラエル、日本三人のみ。
ただしホテル内には参加作品のメイン俳優としての女性の姿は見かける。

ATFの名札は非常に役に立った。

審査員も一緒に食事をするが、食事中は作品の話はしない。   

招聘された者たち同士の交流は食事時と大型バス3台でで移動する車内、及び劇場到着後のロビー。

再会を喜んで抱擁する姿は、まるで戦争から帰ってきたみたいだ、と感じたが実際、互いに生きていたのが不思議な状況下にいるのだと痛感させられる。

ヨーロッパ在住でこのATFのためにやってきた人たちもいる。

私も次から次へ名札を見せて、日本の代表として来ました、話を聞かせてください、と握手してITIの名が入っている名刺を渡して周り、かなり多くの人が日本から視察に来ているとわかったと思う。

そもそもホテルにも劇場にも日本韓国中国系は私一人だから、いやでも認識したろう。

こちらがどんどん話しかけるので徐々に向こうからも話しかけてくるようになった。

日本と何かできないか、ワークショップをやってくれないか、などの話がいくつかある。

が、それを直接話題に出すのは一部で、それとなくこちらに作品の写真などを見せてアピールしてくる。   

一方、俳優同士は大会形式のためか、あまり自分たちの劇団以外とは交流しないようにしているように感じた。

最終日になってやっと笑顔を交わせるようになったのは、審査が関係なくなったせいだと思われる。   

また、ガンナム氏ら事務方と演出と両方を兼ねる人もいるうえ、常に事務方は多重進行するイベントの采配、国家機関からの人物への対応参加国大使らが感激するときの警備を含めた対応、毎朝のメディアへのブリーフィングとインタビューなど多忙を極めていたが、常になんだかのんびりして笑顔で、どことなく浮かび流れるように存在していることに非常に強い印象を受けた。

彼らが多忙すぎるゆえ、事務方上層部と話ができる機会は挨拶程度のみであった。

多忙すぎると思い、事務方上層部にはあまり話しかけないようにして、審査に参加しない招聘者たちとの交流を重視したのだが、どのような交流ができるかを探るという大目的を先に持っていれば、彼らへの私のアプローチも変わっていたかもしれないと思う。

5 アラブの演劇では女性が大活躍!

今回の出品作品を概観します。 

国立劇場、平和劇場、風船劇場の三劇場に(もうひとつありました)1日に1作品ごとかかる。
つまり準備期間は当日の半日のみ。
上演時間は1時間から1時間半(アラビア時間でどんどん押す)。
よって舞台装置は必然的に簡易で背景幕とローテート型の照明(ロックコンサート的な)が多用される。

国立劇場はイタリア歌劇場スタイル。
平和劇場は靴箱型だが上下の観客席は歌劇場スタイルで内側を向くようにしてあるので、身体を曲げて舞台を見ることになる。
風船劇場は客席部分は使わず、広い舞台面に少人数の観客を入れ、舞台と客席の極めて近い円形劇場として用いる演出に使っていた。   

音響や照明はそれぞれ独立して自己主張しており、大きすぎ、やりすぎ、かつ芝居の流れを助けるどころか妨げている。
あたかも学生のロックバンドが自分の音と大して上手くないテクニックを大音量で聞かせようとするのに似ている。

生演奏を使ったのは『夜の旅行者』、『首輪と腕輪』と『朝のライラク』でこの二つは照明もうまく馴染んでいた。


録音を使ってはいても、よかったものが『電波』、『第14室』、『無意味な行為』、『狂人』。

但し、カイロ国内どこも放送ものは大音量なので音響技師が録音ものは大音量にすべきという文化を持っているのかもしれない。

台詞も全てマイクが入り大音量だった。

因みにマイクは細い線にぶら下がったマイクロマイクが舞台を全部カバーするようにあらゆるところに配置されている。

照明に関しては国立劇場の商用演劇的な有名人たちのミュージカルにしても人に当たらないところで勝手に動いているので、1日の準備ではその調整ができなかったとも考えられる。   

演技は、二本を除きかなりレベルが高かった。
(うち一本はプロというより普通の学生たちだと思うので批判しない。後の一本はがんばっているのにどうにも素人臭さが抜けない。一所懸命なのとうまいのとは全く違うのを感じさせてくれた。)

女性が怒鳴り散らし
男性は辟易して怒鳴り散らす
という構造の戯曲が多く、

アラブの女性はこんなにしょっちゅう怒鳴り散らしているのか、という印象を持つ。

それが現実でリアリスティックなのかもしれないが、ドラマにするには緩急がつけられなくなる。

女性は声を潰している人も多く(マイクをガンガンに入れているにもかかわらず)発声術を教える人が必要だと感じる。

男性の発声は全く問題ない。

但し、苦悩に満ちた怒鳴りちらす大量のハムレットとマクベスがいたような印象。

『夜の旅行者』『首輪と腕輪』『電波』など、静かに喋ってない面が深くかつユーモアを忘れない理想的な演技が出来る団体もあるので、怒鳴らなくても人の心を動かせることを信じて心理を深くしていくことがこの先、求められる。

『ヤコブの梯子』はフランスの太陽劇団風かグロトウスキ、メイエルホリド的で、ビジュアルは面白かったしストーリーも興味深かったが、物事の繰り返しが多く、言葉がわかればもっと面白かったかもしれない。

もっと内面追求できる素質を持った俳優たちなので、演出家は俳優の心理追求の力をもっと信じると良いのにと感じる。   

台本の多くは、女性の扱いがうまくできない男性の悲哀を描くもの。

女性のキャラクターも強いがどうしても
「それに翻弄され辟易し困惑して破滅する男性」
を描いている。
アラビアンナイト時代から変わらないテーマ。

言葉の量がものすごい。

6 一位を発表します!

全15作品のうち、審査員投票を経て、選ばれた、今年の一位は、「首輪と腕輪」

前評判はガンナムさんの『朝のライラク』だったが、ノミネートされたのは、『首輪と腕輪』、『短い思い出』、『狂人』、『慈悲』の4作品(もしかしたら1日にひとつを選び5つだったかもしれない)。

大賞を取ったのはエジプトの、風船劇場を使った『首輪と腕輪』。
1980年代の小説の戯曲化らしい。
客入れから高度に楽しめる歌、踊り、漫才で乗りの良い楽しい雰囲気に巻き込み、なのにストーリーは家と男主体の社会に縛られて破滅していく若い女の物語。
歌と踊りとコーラスと芝居を回す狂言役の男女3人ずつが、とっても魅力的。うまい。かろやか。つい見ちゃう。

一昔前のエジプトの家の中。
女性が家の中ではどんな格好で生きているのか、
外へ出る際に黒の布をかぶる様子など、
対外的には表に出さないような生活の様子が見て取れて、
うむ、これが演劇の良さだ、と思った。

舞台は、アルファベット大文字の「アイ」の字型で、客席は「アイ」の中棒を挟んで対面式。
アイの字の上と下の線に、家の中と、エジプトの神殿。
エジプトの神殿にはファラオの像があり、これが神秘と魔術のエジプトを表す。

物語は、この家の娘の結婚と破滅なのだが、彼女はファラオの像との恋愛で妊娠したりするわけ。
年上の金持ちに見初められて子供ができないので、祈りにいったら妊娠して、でもそれを自分の子じゃない、不貞の子だということになり、離縁させられて自殺する、みたいな話であった。

暗い話なのだが、例の狂言回したちの明るさと演出と演技の見事さで、ぐいぐいこちらを引っ張る。もう、ぜひ日本にきてもらいたい。

ストーリーの重さ悲しさと、それを語る方法の軽やかさと楽しさの対比、またいまだにエジプトの地方に残る生活をきちんと描き、エジプト文化を伝える上でも貢献していた。対象に選ばれるにふさわしい演出と演技だったと思う。

だが私が仲良くなった人たちは
「エジプトで開いたからエジプトが選ばれた」
という言い方をする人もいた。

7 日本でもあればいいのに。アラブ演劇。   

日本で上演してもらいたいと私が感じたのは

『夜の旅行者』(台本素晴らしい一人の旅行者が真夜中の電車の中で過去の権力者の亡霊に悩まされる。映画にもなった)、
『首輪と腕輪』(上述。台本素晴らしい。)、
『事故』(台本素晴らしい。現代エジプト、ストーカーによる監禁事件を演劇的に。ストーカーは多重人格という設定を使いコミカルと暴力と妄想の世界が交差する)、
『ヤコブの梯子』(台詞は「ヤコブ」の一言が大半を占め、抗いがたい力に支配されて自由に動けない現代人の姿が太陽劇団的なメイクと象徴的なムーブメントで見せて飽きさせない。台本を得るよりも彼ら自身に演じてもらいたい作品)、
『無意味な行為』(台本面白い。戦闘が続き部屋から出られなくなった俳優二人が、オセロやハムレットやちチェーホフなどを演じながら生き続けようとするも。。。)、
『第14室』(台本面白い。一人の男が図書館の一室で深層心理の妄想に取り憑かれて破滅する)。 

アラビア語がわからなくても流れは掴める。
通訳のハイサムさんに終演後にストーリー展開としてわからなかったことを尋ねた。

8 盛り上がるお客様とモグラ叩き。   

歌と踊り、身体表現、生演奏ソロ等、台詞の応酬ではないものが挟まれた時、いちいち盛大に拍手をするのが、お約束のようである。

終わればどんなものでも盛大に口笛を吹いて囃し立て、喜びを表現し縁者をねぎらう。

カーテンコールは必ず演出家と脚本家が舞台に上がる。
演出家自ら舞台に登って真ん中に入りおじぎをし、「私の作品」として提供している。

もっとも、これもフェスティバルとして脚本家やデザイナーを連れてきているがゆえに、挨拶をすることになっているのかもしれない。

携帯電話は絶対に切らない。
上演中でもガンガン電話が鳴る。
音響は大音量と相場が決まっているので常に大音量で客席に響き渡る。
そして電話に出る。
流石にほかの観客は「しっ」と言うが、構わずに立ち上がって堂々と出て行く。

国立劇場の場合のみ、携帯電話はお切りください、というアナウンスが入り、警備員が上演中もチェックに回るが、ここを注意すればあそこでフラッシュが光る、そちらへ行けば今しがた注意したばかりのところでまたスマホがつくなど、モグラ叩き状態である。

9 しってましたか? 実は演劇が大好きなアラブ諸国!

アラブ演劇祭の運営についてお話ししましょう。 

私の出会った限り、参加者の出身国は、エジプト、スーダン、リビア、アルジェリア、チュニジア、モロッコ、モーリタニア、イスラエル、パレスチナ、ヨルダン、カタール、アラブ首長国連邦、イラク、クェート。

ドイツやフランスなどヨーロッパで研究者・教授として活動していてこのフェスティバルに参加しに来ている人もいる。

彼らを全て同じホテルに宿泊させ、出発日と帰国日の異なる人々を全て空港からホテル間の送迎まで段取りを組んであるのが素晴らしい。

段取り専門のスタッフが2名いた。
デスクと車などの手配と。 

先述したが、昼間のシンポジウムは会議室階となっている階で各部屋で同時進行するのだが、どの部屋にも水とスナックがおいてあり、また、その階の中央ロビーエリアには常に軽食が用意してある。
シンポジウム・スピーカーとインタビューなどが重なる場合、きちんと食事がとれないこともあるだろうことをちゃんと計算に入れていて、参加者主体であることがわかる。

一方で、3時半に集合してバスに乗り、芝居を3本見て23時半にホテルに戻るまでの飲食は一切手配されない。
(劇場にもカフェはあるが、チョコバーを置いてあれば良い方だ) 

観劇は一般の観客も参加するため、協会に配られるチケット数が決まっている。
ことに風船劇場の演目は人数制限もある上に人気が高いので、今回の参加者でさえチケットが売り切れる場合もある、そのことは事前に伝えられた。

当日、午前中に、どの芝居を見るかを申請し、パスにチェックをつけたうえでチケットを配られる。

大型バスでどうせ一緒に移動するのだが、チケットを持っていないと、劇場に到着した際に劇場側から拒絶され、何人か入れない人もいた。 

シンポジウムは時間通りに始まるので、協会が仕切っている部分は時間通りだが、バス運転手や劇場など、仕切りが他に移った途端に「アラビア時間」になるようだ。 

各公演では各国大使クラスもお付きを引き連れて参列するので、それらの車列は道路も止めて警官が先導する。

開会式と閉会式ではエジプトを代表する有名人たちも参列するため、メディアとセキュリティの手配もあったことだろう。

開会式ひとつとってもそれだけで大イベントである。

仮に、アカデミー賞と比べるとして、規模は小さくてもアカデミー賞が1日で終わるものなら、これはカンヌ映画祭のように何日も続くわけだから、相当な準備と企画があったことだろう。

もしかしたら、開会式と閉会式に関しては博報堂のような企画会社に任せている可能性もある。

これを毎年持ち回りで各国で行うことに費やすエネルギーと準備期間の短さを思うと圧倒される。

実際にアラブ演劇協会がどのような手順と人員配置でこれを運営しているのか、機会があれば調べてみたいところである。

10  それで、私を呼んだ意味は?

日本へのなにか意図があったからこそ、国際演劇協会日本センターへ、視察依頼があったわけです。

日本への関心を考えてみましょう。 

私がホテルや劇場にいると、声をかけてくる人は「ニーハオ」と言う。

「ヤバニ」と答えると「おー」で終わり。

話題は続かない。

それで、「日本の国際演劇協会から代表できました。あなたの国の演劇のことを聞かせてください」となる。

英語が苦手だったりして私と話したくても話せない人も大勢いたろうと思われる。

面白いのは、通訳のハイサムさんがいると、皆なかなか話しかけてこないのに、私が一人でいると、ふらーっと話しかけてくるという現象だ。

それで、主に朝昼の食事時が私の交流時間となった。

また、上述したが、コンテストがあるという緊張からか、参加作品関係者は最終日まで話しかけてこなかった。

それは、私に対して、というより、他のどの団体とも、である。
自分たちの団体でまとまって行動していた。

よって、私が話したのは主に研究者・引退した演出家たちである。

強く興味を示してきたのは、ガンナムさんとスーダンの他に、モロッコ、チュニジア、イスラエル。

どう繋げていくかはわからないもののとにかく知ってほしいという感じでコンタクトしてきたのがリビア。 

チュニジアは非常に具体的で、ヤングピープルズシアターフェスティバルを開くので、日本から学生の団体や大学生くらいの学生俳優たちが参加する作品を持ってくる可能性はないか、と具体的に尋ねてくる。
また、ワークショップを開催してほしいという話もある。
それで、能や狂言や歌舞伎などの伝統芸能がほしいのか、それともいわゆる西欧的モダンシアターで良いのか、と尋ねると、伝統芸能でももちろん良いし、モダンでもよい、とにかくプロでない俳優で大学生年齢層の出演者のいる作品が必要だとのことである。何か当てがあれば紹介したい。 

日本の演劇事情研究者もおり(日本語学習者で、演劇学の博士です)、明治維新以降第二次世界大戦までの日本の芸能事情に関する英語の文献を探しているとのこと。

ガンナムさんは、日本との繋がりを今後も強化していきたい方針。

国連大使でロンドン留学時代にイギリス演出家協会のワークショップで一緒だったアリさんは、スーダンと日本で何かできないかを相談しよう、という言葉でいつも終わってしまう。スーダンの、アリさんではない研究者は、スーダンにもモダンシアターは多く活動しているので、それらについても知ってほしい旨、述べていた。具体的な活動に入るのには、もっと何かきっかけが必要な感じ。

11 何が大事って、あなたのつながりです。

このアラブ国際演劇祭全体から感じたこと。

それは、 まず、海外で受け入れ団体があることの重要性を痛感。

もしも私が自費でひとりで参加したとしても、これだけの人と仲良くなれたかどうかは疑問だ。

団体として胸からのパスをぶら下げていること、数日間、同じホテルで同じ食事をすること、皆で貸切バスで移動すること、の3点が、参加者たちとインタラクションをとるのに非常に重要であった。

その地域文化に馴染むというところまではいかなくても、そこに集まる人とまず仲良くなれる。

中東地域は政治主導者があっという間にひっくり返る上にどこまでが嘘か本当か、国家レベルだとわからないというのを国民も感じているようで、大きな団体の繋がりよりも、今顔を見て話した個人同士の繋がりを非常に大事にするのだと感じた。

まさに、今目の前にいる相手との交流、ライブインタラクションがどれほど大切か、痛切に全員が感じているのがアラブ諸国の良心だと思う。

バタシーパークで時の浅瀬のこちら岸 To Battersea Park

三輪えり花がロンドンを回りながら、シェイクスピアの名せりふを読むだけの、トラベル・シェイクスピア。

Chelsea Bridge

今日は、5月の美しいバタシーパークで撮影したものをお届けします。

よかったら、チャンネル登録してご覧くださいね。

テムズ川の河畔で、ちょうどマクベスの「時の浅瀬のこちら岸で」のせりふがぴったりです。

珍しく晴れ上がり、柴犬マギーさんのお散歩をしながら、チェルシーからチェルシー橋を渡ってバタシーパークまでの道のりをゆるゆるとご案内します。

ここで朗読したマクベスのせりふは一世一代のおおごとをするのに、神の掟を破る価値があるのかどうかをはかりにかけているところです。

みなさんも、ありますよね。

この仕事を受けるべきか、否か。
このおつきあいをやめるべきか、否か。
どっちの道を行こうか。

【今日のライブインタラクション】

どちらかを選ぶとき、決め手はなんですか?

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演劇とマーケティング Theatre and Marketing

今年1月にカイロで行われたアラブ国際演劇祭の初日の模様をブログにアップしました。https://elicamiwa.com/blog/?p=3400


エジプトでもスーダンでも、俳優や演出家の地位はとても高い。あと、演劇を使う教育もとても盛ん。

それについてもいずれ詳しく書きたいと思いますが、今日は、演劇とマーケティングの話。

アラブ国際演劇祭の初日の開会式は、関係各国の大使たちもご参列の、まるでアカデミー賞なみの(行ったことないので、行ったことのあるカンヌ映画祭にと言ってもいい)国家的重要イベント。

UAEの王子がパトロンであることもあり、アラブ諸国は政府としてこれを無視することができないのね。
そういえば、1991年にイギリスで開かれた最初のジャパン・フェスティバルは、王太子チャールズと、当時の皇太子(現天皇)が両国のパトロンだった。

あ、この話も面白いので、いつかしたいと思いますが、今日申し上げたいのは、とにかくこの国際演劇祭が国家にとって重要であるという点。

重要である、とは、経済が回るという意味でもあります。

演劇で経済を回すことができるって本当に羨ましい。

でも彼らはそれなりに非常に努力しているのです。

たとえば、ドラマツルグという存在がとても重要視されていて、今回の開会式でも、ドラマツルギーでの演劇研究者が功績を称えて表彰されています。
詳しくはお写真たっぷりのブログに書きましたので、よかったら読んでみてください。https://elicamiwa.com/blog/?p=3400

で、このドラマツルグは観客を掘り起こす、つまり市場を作るマーケッターでもあるわけですの。

お金と演劇。芸術とお金。

見て見ぬ振りをするのは簡単ですが、健全な活動には、心理的安定や満足感も含めて、お金が深く関わっているのですね。

【今日のライブインタラクション】

お金のことをどう思いますか?

入エジプト記3 Ex-Exodus3

2019年1月、カイロに到着した次の日からは、アラブ国際演劇祭一色の日々です。

自室で開会式用におしゃれ

カイロで初の夜明け!

なんてなんてなんて美しいの?
ナイル河のど真ん中に中空に浮かぶようにして眺める朝焼け。幸せすぎる。

ナイル河の夜明け

初日の10日は、『夜の旅行者』を観劇してから開会式。

今日は書き物もあるし、まずは食事をして、15時にバスが出発するというので、14時半にハイサムさんとロビー集合。

長袖シャツにカシミヤのカーディガンで昼はホテル内で過ごす

ロビーには、アラブ国際演劇祭ATFの事務局の机が常設されていて、スタッフが3名ほど、常駐している。

ところが、1445になっても誰も来ない。事務局デスク周りは閑散としている。

15時出発だよね? 出発だよね?

15時。誰も来ない。
15時15分。誰も来ない。
15時半、16時。

大丈夫なのか?

表玄関にバスがいるのかもしれないと思って見に行くが、バスの影もない。名札を下げたATF関係者の姿もない。

ハイサムさんもクエッションマーク。

16時半。

やっと何人か集まり始めて、バスへ。

えー、これだけ?

わずか14名ほどですよ。
これしかいないの、開会式前の観劇?これは審査の中に入っていない、シグネチャー上演なので、観なくてもいいやと思っている人もいるのかしら・・・

真冬のエジプトはまじで寒い

一応冬なので、案外寒い。赤道直下だから暑いだろうと、夏服だけ持ってきたのに、東京を出た時のこのダウンを10日間、着続けるとは思ってもいませんでした。

で、国立オペラハウスへ到着。

開会式はオペラハウスで行われるのだが、芝居の上演は、オペラハウスの中庭で行われるという。

テント?

あの列車の車両らしいよ。

は?

公園のように美しく整備された広ーい中庭に、寂れた電車の車両がひとつ、傾いて置いてある。

近づいてみると・・・
て、
てづくり?

列車の車両と思しきものは、木と鉄でできていて、第二次大戦ごろの発展途上国を思わせます。

よくできてる!

ポスターは出ているけれど、まだリハーサル中で入れないという。

開くのを待っている間に話しかけてきてくれたチュニジアからの文化担当大臣ムニールさん。
ハイサムさんも一緒です。

彼らとはずっと仲良しになり、今後、何か一緒に活動できたらいいね、という話になった。

Mounir, Haditham, Elica

ことに、異国からのワークショップに飢えているらしく、ワークショップを開催することはできないか、青少年団体や学生団体で芝居を持ってきてくれないか、とのこと。

ふむ。おもしろいかも。

そうこうするうちに、例の列車に入っていいという。

いくら小さな列車でも、私たち4人しか客がいないなかで上演するのだろうか・・・

心配は無用であった。
座席はあっという間に満席になり、観られない人も。

なるほど。

先に来て待つ、という文化ではなさそうですね。

後方には楽師たち。生演奏なのね。

細長い車両の、前方からと後方からと、二人がけの椅子が、右と左に、車両の中央部を向いて設置されている。

要するに、バスの座席配列です。が、全部が前方を向いているのではなく、前半分の椅子は、中央部分に向かってつまり後ろを向いて配列されています。

その中央部分は、ベンチが向かい合っている。つまり昔のJR中央線のようにね。ちゃんと網棚も付いていて、映画のセットの中にいる感じです。

この中央部分がどうやら舞台になるらしい。

同じ車両の中で、ある乗客が体験するドラマを私たち観客も同じ乗客として体験する仕組みで、一種のアプライドドラマ、体験型シアターのようですね。
で、上演された『夜の訪問者』

舞台装置としての車両

いやいやいやいや、これはもう最高に面白かったんです!

夜の電車に一人っきりで乗っている旅行者が、車掌にいいように翻弄されて、たいへんな目にあうのです。
と、なんとその車掌は、歴史上の独裁者につぎつぎに変貌し、独裁者の言葉でものを語り始めるの。
怯える旅行者は走る列車から降りるわけにもいかず、最後には拳銃自殺を車掌に強制されて、そうなる。

わかりますでしょう?

走り続ける列車という閉ざされた空間。
逃げ道がない。
進んでいくのを止めることも、降りることもできない。その列車を支配する車掌の言うことをきくしかない、無力な旅行者。

こういうのを「戯曲」というんだ。
こういうのを「芸術」と私は呼びたい。
崇高なものという意味ではなくて、わたしたちが普段うまく気づかないようにしてあたかも何もないかのようにして過ごしていく日常の、本当の姿を切り取ってみせる。
それが芸術だ、と私は呼びたい。

しかもね、この作品のすごいところは、まったく堅苦しくないところなの。

生演奏は明るくて踊りたくなるくらい楽しいし、独裁者の車掌は、でっぷりした大男なんだけど、ちょっとしたしぐさがいかにも人間臭くて、せりふも笑いがたっぷりあって。

ええ、わたし、演出家なので、アラビア語はわからなくても、そのせりふに含まれるトーンとニュアンスを嗅ぎ分けられるので、そのせりふが笑いを含むものなのかどうかはすぐにわかるのです。というか、それは、おそらく、どんな俳優も演出家も、見分けられると思うけど。あと、経営者や営業の人も見分けられると思いますよ。理解しようとせず、子供のように感じようとすればね。

話が逸れましたが、本当にたくさん笑った。車掌はたまに私たちの座っているエリアにもやってきて、話しかけたり、笑わせたり、脅したりするんですが、どこまでがアドリブなのかせりふなのかわからないくらい、巧み。実に自然。すばらしい演技力でした。

おまけに、この旅行者!

車掌に対して、かなり背の低い小男で、痩せている。日本人にもよくいるタイプです。なにに対しても抵抗を示せないタイプのような。40歳から50歳代だと思います。(車掌は60歳代かも)
その無垢な感じの笑顔と、恐怖を感じた時の脅えようなど、これまた実に実に見事。
車掌の話に合わせようとして恐怖を笑いに変えたり、笑いだと思っていたものが恐怖だと知ってひきつったり。演出も一瞬も飽きさせないで見事だった。

あとでハイサムさんが教えてくれたのですが、これはエジプトでは有名な小説または戯曲で映画化もされているものだったそうです。
どおりで、名作。

中東で初の舞台からこのワクワクさで、先が楽しみです。

そして、開会式へ。

カイロ・オペラハウスの観客席

いわゆる、白人文化のオペラハウスです。

おもてには、アンナ・ネトレプコ主演のオペラの巨大なポスターが貼ってあり、クラシックバレエのポスターも。

そう、日本の新国立劇場と同様な感じです。

劇場という文化は、やはりヨーロッパルネサンスのものなんでしょうね、とちょっとショック。

私は日本でシェイクスピアや翻訳劇をやっているけれど、外国人にしたら、なんで日本のものをやらないの?という疑問を持つのは当然なんですな。

さて、開会式自体は、生オケが国歌を演奏するところから始まります。

国歌斉唱は全員起立。

観客層が、当たり前だけど全員中東系で、アジア人も白人もいないのよ。
私一人だけが中東系じゃないの。
だからテレビ局のカメラもやってきたけど、喋れないのでインタビューではなく、写真を撮らせてくれ、とのことでした。

全員がアラブ人の1200人の客席って圧巻よ。

うち、白グドラと白カンドゥーラ(中東のよくある衣装です。いろいろドレスコードは複雑らしいけど)の割合がすごい。

ハイサムさんによると、開会式だからみんな正装しているのではないかと。

あと、国際演劇祭なので各国の大使が参列していらっしゃいます。

そうそう、そういえば、バスが全然進まなかったんだった。

信号も止まっていて、警官の旗振りのみで車が進む。

進むというか、流れる。

いや、流れないんだけど、なんかね、道路が、川のようなんだよ。

水は一方向に進むけど、進路が一定しているわけではないじゃない?
車があんな感じで進む。
なんとなくこっちに進んでいるけど、車線とか関係なくて、みんな好きなところへ割り込んでいく感じ。

事故はないの?

あるある。said Haitham.

なんて話をしながら、動かないバスの中で道路を眺めていたのでした。

私にはバスの窓からの景色でさえ、10日間、一度も飽きなかった。バスの窓からの眺めと交通に関してだけでブログが一本書けそうだ。

この共和国で、アフリカ・中東エリアの各国が集まる国際演劇祭では、大使も参列してメディアがいくつもテレビカメラとレポーターを設置して待ち構え、まるで、そう、まるでアカデミー賞でも行われるのかというほどの賑わいようです。

日本よりもずっと演劇の価値が高くて、なんだか羨ましい。

開会式で行われるのは、エジプトで活躍する演劇人たちの経歴紹介とその功績を称える表彰式。

演劇出身の人々が、舞台だけでなく、映画とテレビを作っている。

俳優と演出家と脚本家、劇作家、舞台美術家、劇評家、プロデューサー。

長年の功績を称え、いくつも賞が授与され、一人ずつ賞が送られる。そのたびに壮大な音楽が流れる。

(音楽は、表彰する際のバックグラウンドが、『オペラ座の怪人』からで、これ、あの、著作権申請してます?と聞きたかったが、やめた)

驚いたのは、演劇研究者にも重要な賞が贈られたこと。

ドラマツルグ(日本には浸透していない職業なので説明しづらいが、戯曲を文学的側面以外からも分析する人。誤解を恐れずに言えば、マーケッターの一種でもあると思う。この戯曲はこれこれの意味があるからこれこれの観客に訴求できる、ついては演出はこれこれが可能だ、などのようなことを、劇団やプロデューサーと一緒になって上演作品企画においてたいへん重要な役割をするのです)としての研究者が非常に高い地位を得ている。

日本よりもずっと演劇の価値が社会的に認められていて、とっても羨ましい。

表彰される人や歴代の演劇映画テレビに貢献した名優たちの写真など

ところで、照明と音響はめちゃくちゃ派手なの。
開会式だからね、派手にやりたいんでしょうね。

と、この日は思っていたが、その感想は、明日、変化し、明後日には裏切られることになる。

カイロオペラハウス

ところで
このオペラハウスは、カイロ・オペラハウスと呼ばれ、一旦焼け落ちていたものを1985年に日本の無償援助で再建したもの。もともとは1869年に完成し、`リゴレット』で杮落とし公演をおこないました。1871年にはスエズ運河完成を祝い『アイーダ』が初演された場所でもあるそうで、先にこれを知っておけば、もっと感動できたのに!と残念至極。

かなり長い開会式で、でもある瞬間にみんなざわざわと立ち始めて、終わっていた。

えー^^^^^^!

これで終わりです、とかなにか、もちょっとわかりやすい終わり方、ないの?

ホテルに着くともう深夜12時半。飲まず食わずです。

母のオートクチュールドレスで

ありがたいことにロビーの食堂は開いていて、我々は深夜の食事をたんまり平らげたのでした。

デスクにiPhone置いて自撮りです
またも美しい夜景をプレゼントされたような

続く・・・


メモとして概要を残しておきます。

アラブ演劇協会 ATI より招聘を受け国際演劇協会日本センター代表としてカイロで開催された第11回アラブ演劇祭 ATF を視察した。以下、概要。 

視察先第11回アラブ演劇祭 

期間  2019年1月10日ー16日  
開催場所  エジプト国カイロ市  
滞在先  グランドナイルタワーホテル 

ATFの構造 

ATFはATI加盟諸国を代表する者が同じホテルに1週間集まり、シンポジウムや討論会を持ちつつ親交を深め、演劇によるアラブ諸国の文化、社会及び人間性の向上を目指すものである。参加作品は、それぞれの国が代表する作品をATF事務局に対し応募し、事務局により選出される。閉会式では参加先品から今年度の優秀作品が選ばれる大会制である。 

第11回ATFはHis Highness Sheikh Dr. Sultan bin Mohamed Al Qasimi, Member of the Supreme Council and Ruler of Sharjah, and the Egyptian President Abdul Fatah Al-Sisiの後援で行われた。

毎年各諸都市の持ち回り制で、閉会式には次回の開催国(都市)も発表される。 2020年はヨルダン国アンマン市で開催される。

プログラム

(カッコ内は公演製作国)
1月10日  観劇及び 開会式 
『夜の旅行者』(エジプト)

1月11日  観劇
『首輪と腕輪』(エジプト)、
『窓』(ヨルダン)、
『しっちゃかめっちゃか』(エジプト)

 1月12日 観劇
『朝と夜』(モロッコ)、
『電波または結婚の贈り物』(モロッコ)、
『短い思い出』(チュニジア) 

1月13日 観劇
『人生の演奏』(イラク)、
『表情のない女』(ヨルダン)

 1月14日  観劇
『第14室』(UAE)、
『無意味な行為』(モロッコ)、
『狂人』(UAE) 、
『慈悲』(クェート)

 1月15日  観劇
『狂った国』(ヨルダン)、
『朝のライラック(ダーイシュ時代の死について)』(UAE)、
『ヤコブの梯子』(ヨルダン)

 1月16日  観劇及び閉会式 
『事故』(エジプト)

海外旅行を楽しむ秘訣 a tip for foreign country

海外旅行ってなんか気を使っちゃうから、ツアーでみんなで行くのに乗っかってるのがいいよね。

と、思っている人も多いと思います。

が、海外旅行の醍醐味は、一人での冒険。

誰かに任せて進むのは、まるで鼻輪をつけられた家畜が小屋にひかれていくのと同じ。

たとえツアーであっても、自分からいろいろなことをしてみましょう。

1月にエジプトのカイロで10日間過ごしたときは、いろいろありました。

空港からホテルに入った初日までをブログにアップしたのでよかったらご覧ください。
入エジプト記2

【今日のライブインタラクション】
自分で試せることはなんですか?

入エジプト記2 Ex-Exodus 2

2019年1月9日カイロ空港へ着陸。

🇪🇬エジプト・アラブ共和国に初めて足を踏み入れます。

搭乗ゲートを出る前に両替するのが良いと調べてあったので、そうしました。

税関を通るために、人々が溜まる場所がありますよね、ゲートからその溜まりに入ってすぐ右手に、両替所はあります。

税関の並び口のところにいると、ビザ(日本人も)料としてなにがしか払うのですが、それをまだ払ってないよ、というと、右奥にある銀行でビザを買えと言われますが、そこでは両替はしてくれないの。

二度手間になるので、ゲートから入ってすぐ右手にある両替所に先に行き、1万円札を出して、ビザ買いたいのでついでに両替して、というと両方一度にやってくれます。

Give me a visa and change please.  で大丈夫。

イスラム教だったり、2013年の軍事クーデター、そのあとまた民政になるなど不安定な政治情勢のためもあるのか、多くの人が、ぶっきらぼうで、こちらの笑顔をものともしません。

三輪えり花、笑顔が通じない国と人に慣れていないので、ふむ、壁が高い、と感じました。

ちなみに、笑顔が通じない国と人の場合は、こちらのステイタスを高く持って、威厳と社会的地位があるかのようにふるまうと、素直に従ってくれます。(困った時のライブインタラクション!)

現金を手にして、税関を無事に通り、今度は、スマホのsimを買おうと思います。

私のスマホはiPhone6Plusでsimロックのある時代にauで買ったものですが、数年前にSIM解除をしてもらい、UQモバイルで使っています。

事前にかなり調べて、このスマホでもロック解除がしてあれば、ちゃんとエジプトのsim を使えると知り、すぐさまOrange phone へ。(たしかvodafoneもあったと思う)。

そこでぶっきらぼうなお姉ちゃんからsimを買いました。量販店で売っているようなパッケージをくれて、装填は自分でやってね、と。

ふと思いました。

ここで装填を自分でやって、もしもうまく効かなかったら、絶対に損だ。
そこで

「あなた、やってくれない?」

売り場の姉ちゃん、自分の仕事じゃないから、とブーブー言うが、隣のレジのにいちゃんが、やってやれよ、と言ってくれたらしく、彼女は渋々simを入れて、アクティベーションまでやってくれている。

ところが、やはり、
「あんたのスマホは、sim解除されてないから、ダメ」
とのこと。

この話、聞いたことがあるのですが、iPhone6plusのau版は、sim解除といいつつ、実際は、解除はせず、なんらかの薄い板をあいだに挟んで、UQやminneなどが発動できるようにしているだけらしい。(詳しくはどなたかのリサーチを待つ)。

というわけで、日本では格安simを使えるのにエジプトの格安sim は使えないことが判明。

「使えないんだから、返却したい」。

使えるものは買うけど、使えないってわかったのに買う意味がわからない。

レジの姉ちゃんはぶーぶー言ったけど、やはり隣のレジのにいちゃんが、返してやれよ、と言ってくれたらしく、クレカで支払い済みではあったもののきちんと返金してくれました。

おめでとう。
こういうことは言ってみるものなのです。

あー、10日間、スマホなしか。
ホテルのwifi を使うしかないな。
あとは、通訳さんが一緒にいてくださるそうだから、いざという時はその人に頼ろう。

三輪えり花、不安というものをほとんど感じないキャラクターです。

というか、障害が出てくると、

「ま、いっか、こうすれば」

と思いつく天性の楽観主義のようです。

無いものにフォーカスするのではなく、現状からどうするか、と受け入れて乗り越えることにフォーカスできるのは、自分でも生きやすい性格だなあ、と思います。

で、「まいっか」と振り返ると、そこにサミー・デイヴィス・ジュニアがジュニアじゃなくなって190cmになったような男性がいて、
「ELICA?」と聞いてくる。
そうね、日本人は私一人ですものね。

ここで説明が要りますね。

私は、国際演劇協会日本センターから、アラブ国際演劇祭の視察を依頼されて、カイロに来たのです。

明日(1月10日)から7日間に渡り、カイロ市内でアラブ国際演劇祭が開催されるわけ。

で、通訳(日本語と英語とアラビア語が堪能で、メールのやりとりも見事な漢字と熟語入りの日本語で大丈夫な)ハイサムHaithamさんが空港まで迎えに来てくれることになっていました。

なので、このサミー・デイヴィス・トールが私の名前を知っていて話しかけてきたことになんの疑問も持たず、「ハイサムさん?」と返事しました。

すると、
「ハイサムさんはどこかにいる。今探してくるから待ってるように。僕はアラブ国際演劇祭の者だから。絶対にここから動かないように!」
と言って、どこかへ行ってしまった。

しばらくすると、今度はダニー・デヴィートみたいなおっさんがやってきて「ELICA?」と話しかけてくる。
「ハイサムさん?」
「ハイサムさんはどこかにいる。今探してくるから、この出口で待っているように」
と言って、私を一番近くの出口のガラス扉の前に連れて行き、そこに私を残して 彼もまたどこかへ行ってしまった。

そこには警備員が銃を持って座っていて、誰かが外から入ろうとすると、ここは入口じゃないからあっちのセキュリティを通れ、と言って押し返す。

今出たばかりの人が忘れ物かトイレかで戻ろうとするのも押し返そうとしていたが、さすがに、わかった、と言って入れていた。こういう、その場での個別判断がちゃんとできるから人間的だ。

そうこうするうちにまたサミー・トールがやってきて、なんでさっきここで待ってろって言ったところにいないんだ?探したじゃないか、とめちゃ怒る。

だってさー、と思いながら、説明するのも面倒だとわかんないような顔をしていたら、座っていた警備員が、何か言ってくれたら、納得していた。

おそらく、さっきのダニーデビートさんのしたことを教えてくれたのだろう。

そこへダニーさんが戻ってきて、私をタクシーに乗せてホテルへ送るという。

えー、ひとり??
通訳のハイサムさんは? 

「ハイサムさんは行方不明だ、ちょっと待ってろ」

携帯電話番号は了解しているらしく、どうやらハイサムさんとも話しているらしい。

と、そこへ背は低いが見事なエジプト彫刻のような顔の青年が現れる。

「おー、きたきた、これだこのタクシーに乗れ」(と、サミーがアラビア語で多分こう言ったのだと思う)。

「みわさんですか、はいさむです」

はー、よかった、一緒にタクシーに乗れました。

「タクシー代は全部アラブ国際演劇協会持ちだ、心配するな。おい、(とタクシー運転手に)ナイルタワーホテルな」

ナイルタワーホテルへ。

へいへいへい、ナイル河ですよ。

小さい頃、手塚治虫の『クレオパトラ』のアニメ映画を観たのが最初のエジプト体験。

その後、イギリスでの大英博物館でロゼッタストーンを見て、テムズ川とパリでオベリスクを見て、世界不思議発見で特集を観て、吉村作治さんの発掘ドキュメンタリーにワクワクして・・・

そのうちにテロが起き始めて、もう旅行は無理なのかなあ、と漠然と諦めていたところへ降って湧いたこのアラブ演劇祭視察。

運命は私にたくさんのサプライズを用意してくれている。

そんなことを思いながら、爽やかな1月のナイル河沿いをホテルに向かう。

ナイルタワーホテルは、ナイル河の中洲にあり、そこへ行くのに橋を使う。

橋の先の中州では、ホテル敷地に入る手前には、検問のバーが降りていて、機関銃をもった警察官またはガードが3〜4人、そして強面のシェパードが二匹。

警官またはガードは、手に地雷探知機みたいな円盤のついた長い棒を持っていて、車の下を一周、トランクは開けて、犬は周りを異常な匂いがないかどうか検知して回る。

この犬は、長い滞在のあいだに、ラブラドールの時もあった。

全ての車両は、バスでもタクシーでも自家用車でも、必ずこの洗礼をしないと敷地内に入れない。

エイの尻尾のつけねのあたりの青い点が、ナイルタワーホテル
画面右のナイル河に中州が見えまえすね。中州の先端にある青丸がホテル
サンキューグーグル。左下の中州の先端にあるのがホテル

敷地に入り、スーツケースを降ろし、さあホテルへ入ろうと思うと、またもセキュリティ。

飛行機並みのセキュリティです。
荷物もジャケットも帽子もベルトもポケットの中も全部チェック。これも、このあと毎回ホテルへ戻ってくるたびに、必ず行います。

ようやくホテル内に入ると、サミー・デイヴィス・トールが先に着いて待っていて、
「えりか、君の面倒は、〇〇がみるから、全て彼女に任せるといい。」
と、ホテルの受付に並ばせてくれる。

受付は一般客もいるのかと思いきや、どうやら今回の演劇祭専用のデスクらしい。

周りは名札をつけた髭面のアラブ系でいっぱいだ。

アジア系は中国人さえおらず、私一人。

しかし、女性は演劇協会の運営側には何人もいる。

ふーん。

そんなことを観察しているうちに、ぽっちゃりしたまっすぐな笑顔の愛らしい〇〇さんが、

「えりか、あなたの部屋はここ。これがパンフレット。訳す? あ、通訳がいるのね、じゃあお願い。あなたが出発する空港の飛行機に乗る税関を通るまで、わたしたちが責任を持って面倒をみるからね」

食事は3食、どの時間帯にも食べることができるオールビュッフェ。
(ルームサービスは有料になるが、地階の食堂は全て名札でフリーで入れる)

国際演劇祭はかくあるべし。
すごすぎる。
(あとで、国際演劇協会日本センターでの報告会でこのケアに感動したと話したら、そんなのあたりまえ、と言われた。亡命の心配もあるから、とか。そうなのか。国際的におこなう演劇祭ってすごいんだね)

私を招待してくださった、ガンナム・ガンナムさん (Ghannam Ghannam 不思議なお名前ですね)は、この演劇祭の最重要人物の一人で、このロビーでこの日に初めて会いました。
国際演劇協会日本センターと、Mr Hayashi(国際演劇協会日本センターで、紛争地域の演劇というシリーズを企画していることでこうしたアラブ中東系とパイプが太い)がよろしくとのことです、を伝えるので精一杯。
忙しい人で常に誰かと話している。
俳優にしても良いくらい、背も高く見目もよくプレゼンスのかっこいい人だ。

私のイギリス在外研修時代の友人、いまや国連大使のスーダン人アリさんにも会えました!

気がつくと周りでは、髭面の男たちが、がしがしと抱き合っている。

まるで古い戦友に偶然巡り合ったかのような、抱擁の仕方だ。
満面の笑顔と、歓迎の背中叩きが、いたるところで進行しているのを見て、思った。

なるほど、これが中東に住むということか。

イランの人、クェートの人、スーダンの人・・・

いつ、どのテロや攻撃や爆撃やらで、亡くなってもおかしくない国に生きているというのはこういうことか。

一年に一度、アラブ国際演劇祭で再会できる、そのときに、よくこの一年を生き延びた、と互いに相手の幸福を喜び合うのだ。

私は心になんとも言えない感慨が登ってくるのを感じた。

さて、明日のプログラムやどうするかを話しあうために、ハイサムさんと無料のビュッフェで夕食をとることにした。

サラダ5種類。
トマトもキュウリも緑の葉っぱも、新鮮でつやつやしたものがどっさりあって、砂漠の国とはとても思えない豊かさに驚く。

10種類近くのチーズ。
ギリシャ風のフェタや、縦に割けるタイプのチーズなど、見たことのないものがたくさん。

基本的にイスラム教なので、豚とアルコールは無し。

チキンとビーフ、そして毎日違う種類のお魚。

とにかく美味しい!!

いろいろな味付けと料理法で、このあと10日間、毎日三度食べることになるのだが、私は一度も飽きなかった。

・・・食生活にこだわらない点と、障害や予想外のことが起きた場合にそれを「へー」と面白く思える点で、私は本当に海外生活に向いている。
もちろん、身の危険を感じるときはあるよ。
初めて行ったバリ島で、とか。
だからバリはあんまり好きではない。

ご飯類も美味しい! 
パスタもあるが、お米が美味しい。
ただ炊いた白米と、ピラフにしたものなど、常に数種類ある。

あまり食事を撮影しない私ですが、記録用に。

あと、パンね。ピタ。

私はお米よりもピタでチーズとサラダを食べる。

そして、フルーツ。

そして、おお、デザート!!

アルコールを摂らないせいか、髭面の強面ガイズが、真剣な顔つきでデザート卓にいて、まるで高い賞金のかかった金魚すくい競争に臨む選手のように20種類もあるデザートを吟味してお皿の上に乗せていく。

そして、みんなこれを完食しちゃうんだよえ〜〜〜。

初日から驚くことばかりであるのである。

ちなみに、アルコールの代わりに、水を飲みます。

食事には水。
理に叶ってる。

食事しながら、明日からの演劇祭で私がみるべきことをチェックするためにプログラムを調べる。

わかったこと:
毎日、三つの劇場で、3本の芝居を観る。
17時からのと19時からのと21時からのと。
全ては、このホテルを出発する大型バスで、一斉のせで、移動する。
(個別に移動しても良いがそれは自費)

合計で15本のお芝居を基本的に全員が見て、それの中で審査・投票があり、今年の一番を決める。

ワークショップもあるけれど、これらは、舞台に出演する演出家と俳優のためのものでそれ以外の人は見学できないらしい。

講演会は昼間、ホテルにあるコンファレンスルームを三つも使って、常に行われている。
もう一部屋は、プレスのインタビュー用。
これもしょっちゅう行われるようです。

明日は17時から1本お芝居を観て、それから19時から開会式だそうで、それまでは自由時間です。

私の部屋はかなりの上層階で、ナイル河のど真ん中に一人で浮いているような気分です。
夜景が、美しい。

なんて幸せな私。

明日からのアラブ国際演劇祭でしっかり視察をして、たくさんの疑問と課題をみつけていこうと思いながら床に就く。

beautiful clean and gorgeous room
my balcony

入エジプト記 1 Ex-Exodus 1

2019年1月にカイロ(エジプト)を訪問する機会がありました。

私の所属する国際演劇協会日本センター(ユネスコ傘下)からの依頼で、アラブ国際演劇祭の視察に行ったのです。

諸々一段落したので、遅ればせながら報告を一般の方向けにまとめていきます。

動画でその場でしゃべっている報告が一番面白いと思いますので、三輪えり花のyoutubeチャンネルにチャンネル登録(無料)をして、ご覧ください。

まずは、羽田空港からドバイ経由でカイロに向かう、そのドバイまでをお送りします。(約23分の動画です)

韓国上空


中東方面は行くのは、トルコ以来です。トルコの時、どこの上空を飛んだのか憶えていません。

今回のエミレーツは韓国上空からインド(ヒマラヤ)上空を超えて、ドバイへ降りました。

真夜中に羽田を発ち、まずは韓国の夜景に感動。韓国は行ったことがなくて。

真っ暗な中に都市部だけ明るい感じが、全体が明るい日本とは違って、なんだかそこだけに人が住んでいる感があり、物語風で感動したのです。

アラビア半島

目がさめる頃にはアラビア半島に向かっているオマーン湾の上。

朝日の向こうにアラビア半島の最高峰を持つ山脈が見えてきて、これまた大感動。

砂漠を見晴るかす山脈って、それだけで物語的じゃないですか。

砂漠の民は

足元には砂漠。

風紋が大きい!

一つ一つがおそらく、映画やコマーシャルで見るような砂丘なのでしょう。

そのスケールの大きさを想像して圧倒されます。

風紋だから、毎日毎秒、動くんですよね。

どの山があそこにあるからこっちの方向、という普通にあるような目視で方向を探る、というのが全く不可能なんですよね?多分。

いったい、どんな精神構造になるだろう、とか、演出家としては非常に興味が湧きます。

古い古いかつての城塞のような都市も見えます。

ドバイ空港

ドバイ空港がすごいと聞いていたのと、万一いろんなことがあって乗り換えが困難になるといけないからと、乗り換え時間8時間で飛行機を予約。

いろいろお買い物するのは帰り道にしようと、下見気分で出かけました。

とにかく広い!!!!!

歩けど歩けど、ショップとカフェが並び、一向に空港の果てがありません。

長い一本道のメインアレーのほかに、左右、地下にまたまた長くアレーがあります。
日本のように、搭乗口とショップエリアが別になっているのではなく、中央にショップエリア、それと並行している脇道がすべて搭乗ゲート、という配置で、ゲート近くまで行けばギリギリまで遊べる仕組みです。

メインアレーにはホテルも併設されていて、長時間トランジットの人は宿泊・あるいはロビーのみ使用(有料)などができます。
私は、長時間ですが、無料で寝っ転がれるラウンジと有料ラウンジを比較検討して歩いた結果、タパスバーになっているところへ入りました。カディングというところです。

76米ドルで高いのですが、高いだけに人が少ない・広々している・静か・料理充実!ドリンク充実・豪華マッサージチェア・シャワー・wifi・電源など、大変お得だと感じました。

約8000円なので、小規模ホテル1泊と変わらないのですが、空港内ホテルは2倍以上しますから、これで良いでしょう。

食事が美味しかったのがとにかく気に入りました。

ドバイで長時間トランジットなら、オススメです。

では、いよいよカイロへ向かいましょう!

To be continued…!

ロンドンバス19番 Number 19 Double Decker

ロンドンの風景をゆる〜くお伝えしながら、たまにシェイクスピアを読む、トラベル・シェイクスピア。新しい動画をアップしました。

ピカデリーサーカスからスローンスクエアまで向かう19番バスの2階からの風景です。▽

番外編でピカデリーの雑踏も。これはお見せするほどのものではございませんが、自分の記録のためにアップしたので、ついでに。▽

【今日のライブインタラクション】
視線の高さを変えてみよう

演読 Endok

岸田國士という昭和の大劇作家の小作品2本、ダブルビルでのリーディング公演、本日大成功で閉幕しました。

勝俣さん 私(三輪えり花) 華ちゃん 山ノ井さん
青ちゃん(演出家) 佐野さん(ミュージシャン)

朗読なのですが、表情や動きの演技がちゃんと入ります。淡々と棒読みスタイルで読み上げるものは朗読。でも、表情やドラマをちゃんと演じて表現するのは、「演読」と私は呼んでいます。(流行らせてね!)

1本目は『ヂアローグ・プランタニエ』フランス語で、春の会話、という意味です。女学生の親友同士。好きになった男性が同じ人。でも昭和三年の当時は、両家の子女の結婚相手は両親が決めるもの。私は、選ばれなかった女性「奈緒子」。

稽古中

2本目は『隣の花』二軒長屋の中流家庭。家庭というより、結婚後6年の子ナシ夫婦と、結婚して半年の夫婦。夫の方が、隣の奥さんのほうがいいなあ、とアプローチをかけてくる、奥さんたちもそれが嬉しい。私は結婚後6年の妻で、亭主関白の夫にいつも笑顔でいるのに、夫には対外的に「バカなんです。年寄りで」とバカにされ(ほんとに昭和の男ね)、心の中はストレス溜まりまくりの文子さんです。

私、劇団昴時代に『紙風船』を読んで、なんて子供っぽい、バカみたいな話なんだろう、鎌倉に電車で行くかどうかだけのことで、と思い、以来、岸田國士大っ嫌いで、面白さが全くわからなかったのね。

(そういえば、シェイクスピアも大嫌いで面白さがまるでわからなかったっけ)

以前も『チロルの秋』をリーデイング上演で演じたけれど、そのときもそれほど、凄さに気がつかなかった。
今回は、『ヂアローグ・プランタニエ』台本がじつにチェーホフそっくりで、まるでワーニャ伯父さんのソーニャとエレーナのやりとりのようで、独りで自習する読解過程がすごく面白かった。

本番をやっている最中にも発見があって、あ、これはお隣さんのせりふだけど、実は文子の心情を表してるじゃないか!と思ったら、演技につなげることができたり。

台本読解は本当におもしろい。スタニスラフスキイの9つの疑問を軸にして、フィジカル・メモリーを使って演じていく、そこにベラ・レーヌの、心の中のせりふと、心が動くことを許すということが加われば、もっともっと日本の舞台は面白くなります。

【今日のライブインタラクション】
スタニスラフスキイの本を読んでみよう。

*お写真はほとんどが華ちゃんが撮影してくれたものです。ありがとうございます!

ナチュラルな演技とは Natural Acting

プロの表現者になるには、ナチュラルな演技力が欠かせません。

しかしながら「ナチュラル」を、「いつもの」「普通の」と捉えると大間違い。

たとえば、嫌なことをされて腹をたてるのは、ナチュラル。

ものすごい怒りを覚えて思わず大声を上げるのは「思わず」ナチュラル。

信じられないニュースに、普段は見せない喜びを爆発させるのも、ナチュラル。

つまり、本当の「ナチュラルな演技」とは、なにもかも普通サイズに矮小化することではないのです。

そのキャラクターの本当の心理に沿って、感情が自由に動くに任せること。

日常から、意識してみましょう。
心が動くことを自分に許してみてください。

【今日のライブインタラクション】
心は動いていますか?


追伸:今週の金曜、土曜と、東京都内吉祥寺のライブハウスで、三輪えり花、朗読に出演します。

岸田國士という昭和の劇作家の小作品2本。これがなかなかにナチュラルな演技力が必要。

感情が動くのに抑えて隠して、けれどお客様にはそれが漂うのが見える、というのが理想。

シェイクスピアの感情爆発の三輪えり花ではなく、抑えに抑えた、ナチュラルな三輪えり花をお楽しみください。

詳細↓
8月9日(金)19:00開場19:30開演  10(土) 1st 13:30開場14:00開演  2nd 18:00開場18:30開演会場:吉祥寺MANDA-LA 2
 https://mandala.gr.jp/mandala2/index.html
演出:青柳敦子(ぐるっぽ・ちょいす)出演:勝俣美秋  華みき  三輪えり花  山ノ井史演奏:佐野篤
3,200円+1ドリンク別 *入場時に1ドリンクのご注文をいただきます

ご予約は、三輪えり花の紹介でと一言添えて、
https://ssl.form-mailer.jp/fms/36a3b84d475895

三輪えり花は真ん中の段の、8月9日と10日の公演です。
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