アイルランド50代女一人旅 5:ゴールウェイ歴史散歩

2022年10月5日

ダブリン空港からバスに乗って雨と晴れと曇と目まぐるしく変わる天気の中、予定通りにゴールウェイに到着。

ここからの予定は、まずホテルに行き、チェックイン前だから荷物だけ預けて、レディ・グレゴリーのお墓参りをしてから市内散策。

そこで、バス停から「インペリアル・ホテル」という大層な名前のホテルへ向かう。

雨あがりの Galway のなんと穏やかなこと!おしゃれでもなんでもない通りなのに、なぜか良い気分になれる。

Eyre Square Statue

すぐに街の中央広場 Eyre Square に到着。

そうそう、日本って、英語で書くと Japan ですよね。それと同じことがアイルランドでもありまして、英語で書く Ireland は、アイルランド語で書くと、Eyre なのです。Eyre が国名。おそらく、Eyre という Land だったから、それを英語発音したら Ire-Land になったのでしょう。

が、この広場の名前は、1710年にこの地域を提供した知事の名前が由来です。で、この広場の本当の名前は、John F Kennedy Memorial Park。なぜなら、1963年に、アイルランド移民で最初のアメリカ大統領になったケネディがここで演説をしたから。

ホテルにたどり着く前、Eyre Square にある銅像の上の鴎という思わず笑顔になる絵に出迎えられました。

この銅像になった方は、Liam Mellows (ライアム・メロゥズ)。アイルランド独立戦争の英雄で反逆罪で1922年に処刑されてしまいました。アイルランドの独立は本当に大変なことだったんですね。

Imperial Hotel

Imperial Hotel はEyre Square の角にあります。

15時以降のチェックインは承知だけど日本から11時頃に着くから荷物だけ置かせて、とメールしてあったら、部屋を整えていてくれた!素晴らしい!

メイドさんたちはアイルランド語を喋っている。素敵だ。素敵すぎる。好きだ。暮らすのはロンドンの方が何かと面白いが、ここは本当に来て良かった。最初っから好きだ。小さな町。しかもさっきまでの大雨はどこへやら、キラキラの青空なのである。荷解きして電源でスマホたちを再充電しながらメイクして、腹ごしらえ。

The SKEFF

とにかく、食べよう。しかし、どうして良いのかよくわからない。ともかくエアスクエアに沿って歩き出すと、最初に並んでいるパブのひとつ Skeff が、1850年創業と書いてあって花が植っていて、あ、ここにしよう、と思った。大層な木造り内装でこれも一眼で気に入った。先ず fish and chipsと思ったが、なんとこれが一番高額で17ユーロもする。なぜ? もっと好物でもっと日本では希少なムール貝が12.5ユーロだったのでそれにした。

観て!この内装!

大画面では、就任したばかりのリズ・トラス首相(この時はまだ)が、「イギリスを前へ進めよう」スピーチをしていた

これだからヨーロッパ旅行はやめられない。

上の写真はテーブル席エリア。

この彫刻天井! このシャンデリア! 格子窓! カーブが美しい椅子!椅子の背もたれの繊細な刺繍! どっしりしたオークの柱たち、そしてその彫刻! 一つ一つに、愛と喜びが溢れていて、それが空間を満たす。何もかもが美術品・工芸品として美術館に入れてもいいくらいの一級の価値があるのに、普通にパブとして営業している。誰もがその恩恵に浴している。日本もこういう美術感覚にならないかなあ。

下の写真は、止まり木エリアを隠し撮り。

今回の旅は、2ヶ月後に上演する舞台作品のためのリサーチ。上演する一つは『月が昇れば』(レディ・グレゴリー作)で、舞台装置にウィスキーの樽が必要なのです。日本人のスタッフと俳優に見せようと思って写真を撮りましたが、バーテンダー君は明らかに自分が撮ってもらっていると思っているようです。芝居では、樽の上に大の男が二人、背中合わせに座る設定なのですが、この樽なら、十分可能な大きさですね。それにしても、1791年創立のPower Whiskey, 赤と黒のラベルがカッコ良すぎやしませんか?

上の写真で注目すべきは、階段の手すりです。私は昼食を取るためだけに寄ったので、詳しく見られませんでしたが、上の階も素敵そうですね。次回は絶対に行ってみよう。

初めてのGalway 到着したばかりでさすがの三輪えり花もちょっと尻込みして、詳しく見物できなかったけれど、木彫の紋様が素晴らしい。それにこのランプシェード。なんなの、この何から何まで手作業のデザインの美しさ。バーの下部のパネルさえ彫刻だらけ。すごすぎる。

そしてお待たせ、ムール貝!とフライドポテト。乗っているのはガーリックブレッドです。

美味しい! え、これ、皆さんに絶対に食べてもらいたい。美味い!語彙不足する美味しさ。パセリ、白ワイン、ガーリック、バター、塩。そして素材の新鮮さ! アイルランド西海岸は本当に貝が豊富な土地らしくて、それも次に上演する芝居で言及されているのだ。なので、冷凍の貝なんてないのです。全部新鮮(のはず。この美味しさは)。

支払いはテーブルで、ウェイターと目を合わせて Bill, Please ビルプリーズというと用意してくれる。そのままクレカ。なので、これまでのようにサービスチャージをトップアップしなくて良い。サービスが含まれている値段なのだな。ユーロではらったけどあ、日本円で3600円くらいの昼食だった。すげー、日本貧しい!

The New Cemetary at Bohemore

お腹も目も体験ワクワクもいっぱいになったところで、いよいよ The New Cemetery at Bohemore へ、レディ・グレゴリーのお墓を探しに行く。1932年没。それなりに古めの墓石を探すが見つからない。ここに来る前に、日本から何度か事務局とメールでやりとりしたのだが、その人のお墓はここにはないと言われていたのだ。でも、世界のお墓データベースでは確かにここにいることになっている。誰も面倒を見ないせいで、別の誰かのお墓にされてしまったのかな。

スミスさんを慕うカラスさん。

お花がたくさん植っていて、全体が花壇のようになっているのがいいね。

魔法使いの秘密小屋みたいな小さなチャペル。屋根の上の空洞状態のところに釣鐘をして鐘を鳴らすのです。

この墓場全体のチャペルにしてはかなり小さいのでもしかしたら個人用(というか、ロミオゥとジュリエットみたいに大きなファミリーの)かもしれません。木の幹の感じとバランスと、これだけでも映画が撮れそうです

↑ こちらは、大きなチャペル。明らかに、こちらは墓場全体用。

墓場にはカラスがよく似合う。とくにケルト十字だと、神話性が増す。カラスがただの鳥ではなく、何かの精霊で意思を持っているかに見える。

ケルト十字架がぎっしりと立っている風景は案外すごい。映画でもなかなかないよ。

必要箇所を先にチェック

ホテルへ帰り、トイレ。次は今後に必要な箇所を確認のために回る。

フェリーのチケット。Aran Island Ferries はどの通りにも支店がある感じ。私はコーチを降りた目の前にある支店へ。問題なく受け取れた。バス停も教えてもらい、0915にそこにいれば良いと聞いた。馬車観光が売り切れているみたいなんだけど、他にも会社は無いのか、と尋ねると、他にもあるそうだ。バスツアーはたくさんある。よしよし。

フェリーに乗る際にスーツケースを預けたいので、ネット予約してあった Big O Taxi も見つけた。予約係が親切で、一緒に画面を見ながら確認できた。私がスケジュール確認に手間取っても、いいよいいよ、落ち着いて、と言ってくれる。良いな。

正面に見えるのがBig O Taxi の建物

ところが! タクシーは確認できたけど、スーツケース受け取りはやめたんだって。コロナのせいかもね。通りの向こうにあるprocab ならやってるよ、と教えてもらい、近くまで行ったが経営している雰囲気がなく、またあまりにも場末っぽくて、ここに荷物を預けるのは心配だな、と、中まで行かずに諦めて、駅にロッカーはないか探す。無い。車両のレーンが2本あるだけだ。入るのと出るのと。

左手にフェリー切符売り場。右手のガラス張りの円形の建物がバスターミナル。

コーチステーションはどうだ。スーツケース用のコインロッカーは無い。参ったなぁ、と思いつつ、明日のバスが出るMerchants Rd を調べに向かうと、途中に Kinlay Hostel があった。さっき、Big O の青年は、Kinlay hostelでも荷物預かりやってるよって言ってたよね。なので、受付で聞いてみる。わ! 24時間6ユーロでやってる。予約なしで当日運んでくれば良いそうだ。Galway のツアーも一手に引き受けているようで安心だ。ツアー会社からのホステルなのか、ホステルからのツアー会社なのか、わからないけれど、ここは使えそうです。

バスの止まるMerchants Rd、なるほど。さまざまバスが道路沿いに、標識もなく並ぶ。どのバスなのか気をつけておくべし。

Galway 近辺観光で必要な場所たち。中央上のバツ印が、一軒の価値のあるパブThe Skeff

メインストリート観光

それから小雨がたまに降る中を、傘をさして、私のこころの恋人オスカー・ワイルドの銅像の通りへ。William Street. この通りこそゴールウェイの動脈。

みよ、この幸せな三輪えり花を。

通り沿いに中世からの建物とパブが混在する。途中で Lynch’s Castle という、中世のLynch さんのお城が今は銀行になっているのがある。

紋章は、ハウンドとドラゴン。盾の中には百合の花、ライオンなどのイギリス王室の印が見える。その下には、やもりにしがみつかれているフクロウ。いや、やもりかとかげを捕まえたフクロウか。

イギリスでも感心したが、何百年も前の石の躯体に現代の窓やセントラルヒーティング、ガスと電気を通して再生使用する技術が素晴らしい。日本はなにかというと、コンクリートで見た目だけ似た感じにすりゃいいでしょ、となってしまう印象がある。

その向かいだったかには、Claddah Ring を発明したお店がある。クラダリングは、アイルランドの愛と誠の象徴です。初めてロンドン大学に留学したとき、カナダ人の女性がクラダリングをしていました。彼女はアイルランド移民だったのです。そのときから、いつか手に入れたいなと思っていた。ここで買いましょう。今日はもう入れなかったけれど。

William Street はここから Shop Street と名を変える。

ホテルからスパニッシュアーチまで、一本道。青い線で示しました。

ここで演劇を始めた人も、その場所である劇場跡の建物もあって、それらが、ブルー・プラークで示される。クラダリングの考案者のブループラークもある。

自転車と街路灯と赤い壁と黄色のドアに黒いオリジナルの石パネルと青い通り名標識。おしゃれマインド全開です。

ちなみに、青い通り名標識は、大きな文字で英文、その上に小さめの文字でアイルランド語標記がされています。

ぶら下がり看板のデザインがクラダリング。ハートを両手で捧げ持つデザイン。

青い建物は、パブ。手前の青い円形の盾が、ブループラーク。

18〜19世紀の国会議員リチャード・マーティンさんがここに劇場を建てました。左の絵も劇場文化を表していますね。マーティンさんは動物保護や人道的活動家としても有名でした。

青い四角くくり抜かれた紋章を見せているのはただのアイスクリームショップ(か、化粧品屋さん、忘れた)なのですが、元々の建物の石の紋章部分を残して提示しています。

赤い壁のパブもヒストリカル! 築800年以上です。

この King’s head はおどろおどろしいいわく付き。チャールズ1世が清教徒革命で首を切られたことを祝ってのパブのようです。

中世の街並みが残る中を観光名所のSpanish Arch へ。目の前の車道は Spanish Parade という名前。道路の名称が素敵すぎる。コリブ河は流れがパワフルで驚いた。河口あたりって滔々としているものじゃない?コリブ河口は、まるで山中の急流!その中を白鳥が首を突っ込んでお食事中。大きなかもめも数種類。かもめって種類あるの?

こちらは、Spanish Arch.

1584年(シェイクスピアが20歳の歳)に建てられましたが、その期限はもっと古く、バイキング時代の12世紀に遡ります。

1477年にコロンブスがジェノヴァからここにきて、この先には必ず陸があると確信した場所、という石碑が立っている。そうかぁ、コロンブスもこの門をくぐったんだな。感動!

この日は晴天で穏やかですが、船員たちも、どんな思いでこの先の海を眺めたことだろう。だって、この先は崖になっていると信じられていた頃のことだよ。いや、陸なんだよ、あるんだよ、一周するんだから、と説得された男たちはどんな人間だったのだろう。捨てなくてはならない家族がいないとか、もう国にはいられない、とか、失恋してもうどうとでもなれ、とか、そしてそれ以上に、冒険がしたい、まだ見ぬ天地を探しに行きたい、という強い強い憧れがある人たち、どんな危険を冒しても自分は生き残るのだと確信している神経の持ち主だろうか。すごいですよね。

コロンブスが西をめざすのはわかるけど、その一人の男についていく、というフォロワーの神経と信じる心がすごい。

と、その向かいの壁にこんなものを見つけました。

これはもしかしたら、Banksy さんですか?誰か教えて。

再び Shop Street に戻り、食事どころを探す。牡蠣が食べたいんだよ〜。有名なのが、The MacDonagh’s 庶民的なFish & Chips のお店。牡蠣は6個で13ユーロ。あ、結構するんだね。昼の食事より高い。なるほど。

少し先に行くと右に折れる石畳の小道が見えた。中世に紛れ込んだ?道路名は Druid Lane. ドルイド小道!

行ってみましょう。

行ってみると、工事現場みたいになっている。ガラスで覆われて。え?工事現場じゃないよ、遺跡だよ。Hall of the Red Earl.  紅伯爵の館。わお。中世です。13世紀の伯爵の邸宅で、当時の政治の中心的建物だったそうです。

スパニッシュアーチからの距離感がわかりやすいと思うので、赤矢印、二箇所しました。

再びShop Street へ戻り、もう一つ有名なSeafood 店 The Seafood Bar at Kirwan’sを探しに行くと、そこも中世。しかも、劇場後の建物の通り Kirwan’s Lane 。

この通りには、マーティン劇場というのがある。18世紀。愛国主義者のシーボルド・ウルフ・トウンという男もここで演じた、と書いてあるブループラーク。

中はもうお土産屋さんみたいになっているようです。

空いていないので詳しく聞けなかった。次回のお楽しみ。

一方、シーフードレストランも、全然誰も入っていなくて、営業しているのかどうかもわからず、通り過ぎる。

上記地図では、Mcdonaugh’s の上に緑文字で書いてあるところです。

Eyre Square Shopping Centre

それから、Eyre Sqquare Centre というショッピングモールへ。ここも中世の砦。それを中心に建物全体で保存して、その周りが買い物街になっている全く新しいタイプの観光地。18時ごろだったが既にスーパーも閉め始めていて、電子レンジフードしかなく、夜はやはり外食決定。脚が非常に疲れた。一旦ホテルに帰るべし。ホテルが近くて本当に幸いだ。

ショッピングセンターの地下には、古い城壁が保存されている。その地図とブループラーク。

夜のEyre Square 前。お昼に食べたThe Skeff のある。

その奥には小さなチャーチ。

そして月。

まいったね、映画を撮れる。

オイスターで幸せな三輪えり花です。
夜は迷った挙句、Eyre Square Harriman Hotel The Oyster Barへ。感激したのは黒パン。なにこれ、何、この美味しさ!この柔らかさ、この香り、この、ドライフルーツの香り。しっとりさ。もちろん牡蠣もおいしかった。ちょっと開き方が素人っぽかったんだけど・・・

OK, 初日、お疲れ様でした!


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