日本語は主語や目的語を省略するので、英語に比べてわりと曖昧です。英語の演技訓練で、「指差し確認」というものをやったら、とても役に立ったので、ご紹介しますね。

何を話しているのか、本当にわかっていますか?

英語では主語が誰(何)で目的語が誰(何)か、が明解に書かれています。(指示代名詞が具体的になにをさすのかが不明瞭な文章もありますが、それは作家が仕掛けた謎解き娯楽のようなもので、実際は、指示代名詞は、はっきりとなにを指しているのかが明確であるように使わなくてはなりません)

誰が、という課題は欧米言語世界ではとても重要で、例えばマルセル・プルーストの『失われた時を求めて』では、ものに名前がついていることが重要なテーマとして扱われています。

主語と目的語をはっきり認識しよう

演劇の台本では、それを演者がはっきりと認識するために「指差し確認」というエクササイズがあります。
やってみましょう

【Action 目的】
台本に書かれてある人物・場所・物の関係を明確にする

【How 方法】
次のせりふを見て、今いる部屋の中のあちこちを指差してみよう

I told her he said that to his grandmother when she was still living in that house.

↑ は、私がいま思いつきで作った文章ですが、日本語にしますと、下記。

「わたし」は、「彼女」に、言いました。「彼」は「彼のおばあさん」に、「彼のおばあさん」がまだ「あの家」に住んでいた頃に、そのことは伝えたと。

この文章をみながら、自分や彼や彼女や彼のおばあさんや彼のお婆さんが住んでいた家などの場所を、稽古場や今いるお部屋の中で自由に想定して、あちこち指差すエクササイズです。

【Try やってみよう】
今度は、上記の日本語をもっと普通のしゃべり言葉にしてみました。これで再びやってみましょう。

「だから言ったのよ、あの人は、お婆さんがまだあそこに住んでる時にそのことは言ってあるって言ってた、って」

チェック:最初の「だから言ったのよ」の中に、主語「私」と「彼女(またはいずれにせよ誰か第三者)」が隠されているのが見えてきますか?

話を明確にする意識で

それにしても、英語は指示代名詞の使い方を知ると話の内容がとてもわかりやすくなります。

また、「誰」という個人名が重要であることで、責任の所在を明確にする意識も強く働くのでしょう。

日本語では主語も目的語も曖昧にして「察して」になってしまうので、責任の所在も、公式文書も、解釈が多様になりすぎて、有耶無耶になってしまうのかもしれません。

そういえば、バリ島では「長男」という名前の人がワンサといましたっけ。

「あの人の名前は?」
「長男」
「えっと、あそこにいる人の名前は?」
「長男」
「じゃあ、あっちにいる人は?」
「長男」
「みんな同じ名前ならどうやって本人だってわかるの?」
「なんとなくわかるものなんだ」

という会話を、宿の主人としたのを憶えています。

個人名が無い、という状態に慣れている人たちの社会って、どんなものなんでしょうね。

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