ELICA's IKI

タグ: 演技力

  • 男というものに心の一貫性があれば [Shakespeare For You]

    ようやく我に返ったプロテウス

    🎭 O heaven, were man
    But constant, he were perfect.

    🎭 おぉ天よ、男というものに
    心の一貫性があれば、完璧になれたのに。

    【演じ方】

    ようやく、ようやく、プロテウスが我に返り、なんて酷いことをしたのかと反省します。

    でもこの台詞は少し間(ま)が抜けていますね。おまえなに言ってんだよ、と突っ込みたくなります。

    思うに、シェイクスピアはここで観客の笑いを狙ったのではないでしょうか、ここに至るまでに緊迫した、暴力的でダークではらはらする場面が続きましたからね。

    ただ、プロテウスは冗談を言っているつもりはありません。

    至って真面目に反省しつつ、かつ観客には笑えてしまうというのは、とても難易度の高いものですが、イギリスではそれができないと俳優とは言えないと思えるくらい、大事な技術です。

    日本では「おちゃらけ」て「ここ笑うとこ」とあからさまに指示しないと観客も「笑ったら失礼」と思ってしまうのでしょうか、なかなか本人の意図しない「笑わせどころ」が表現されるのは目にしません。

    こういうコミックモーメントは、イギリスのコメディドラマでよく目にしますから、それこそチャップリン、モンティ・パイソン、ミスター・ビーンを研究してみましょう。

    #シェイクスピア #名台詞 #英語 #演じ方 #プロテウス #ヴェロゥナの二紳士

  • 我が友こそが最悪の敵だったとは! [Shakespeare For You]

    今日の一言シェイクスピアは、あっという間の心変わりを観客に信じさせるには?

    『ヴェロゥナの二紳士』ヴァレンタイン

    🎭 The private wound is deepest:  O time most accurst, 
    ‘Mongst all foes that a friend should be the worst!

    🎭 何よりも心の奥底についた傷は耐え難い:おお、今この時が憎い、

    敵の中でも、我が友こそが最悪の敵だったとは!

    【演じ方】

    森に隠れて生きているヴァレンタインは、偶然、恋人のシルヴィアを、親友のプロテウスが強姦しようとする場面に出くわします。

    これは、それを止めようと姿を現した一連の台詞の一番最後の部分。

    ここは怒鳴るでしょうか?

    この台詞の前に彼は結構喋ります。

    ということは、この最後の一文まで怒鳴ってしまうと、全部怒鳴りっぱなしになる危険が。

    止めに飛び込むところは怒鳴っても、その後は、激情をただ吐き出すだけではつまらないよね、と私は考えます。

    演劇は、相手の気持ちや行動を変えようとする「アクション」で成り立つと、面白くなるものなので。

    ですから、怒鳴って止めに入ったあと、一連の台詞は、親友と信じていたはずのプロテウスに、どう言えば、じぶんの今の苦しみや気持ちをわかってもらえるか、を試行錯誤する場面だと思って演じると良いと思う。

    実際、この台詞を言ったら、その次はプロテウスが「悪かった」と謝るのです。

    台本の文字で読んでみるとさっきまで強姦しようとしていた男、友を裏切り続けて追放にまでした男が、こんなにさっさと謝っていいの?

    と思えてしまいます。

    だからこそ、ヴァレンタインの一連の台詞は、本当にプロテウスの心を動かせるように、演者には巧みな技術と、深い心が必要です。

    ただし!
    演出や演技の方向性として、プロテウスは心の中では全く反省していないけど、表面はめちゃ悪かったと思っているかのように「悪かった」と言えちゃうキャラクターとして作ることもできます。そう、北欧神話の悪賢い神ロキのように。

    どちらも試す価値があります。

  • ここに座ってひとりぼっち[Shakespeare For You]

    ここに座ってひとりぼっち[Shakespeare For You]

    今日の一言シェイクスピアは、夜の森で寂しくナイチンゲールを聴く心とは?

    『ヴェロゥナの二紳士』ヴァレンタイン

    🎭 Here can I sit alone, unseen of any,
    And to the nightingale’s complaining notes
    Tune my distresses and record my woes.

    🎭 ここに座ってひとりぼっち、誰にも気づかれない、
    ナイチンゲールの不平たらたらの歌声に
    合わせて俺の無念を奏で、この嘆きを歌に残すばかり。

    【演じ方】

    夜の森に一人、ヴァレンタインが、ミラノにいる恋人シルヴィアを思って、心のうちを語る台詞。

    (ヴァレンタインは、シルヴィアの父ミラノ大公の怒りを買い、追放になり、いまや森の盗賊たちのボスに祭り上げられ暮らしています)

    ヴァレンタインはただナイチンゲールがうるさいと不満を漏らしているのではありません。シルヴィアのことを思い、自らの運命を嘆いています。誰も、俺がいま、どうしているか知らないんだ。このまま俺は消えていくのか、と。

    独白は、決して、独り言ではありません。

    必ず、観客に向かって、「訴える」「尋ねる」「賛成してもらう」こと。

    その時も、決して、棒読みっぽくなったり、文字を読み上げている感じになったり、棒読み系のナレーターのようになったりしてはいけません。書かれた文章のようになってはいけないのです。

    ヴァレンタインは、夜の森に一人でいます。眠れないのです。シルヴィアのことを思うと。

    夜なので、気づくとナイチンゲールが鳴いています。

    ナイチンゲールは、普通は、美しく、心楽しく、幸せな気分をもたらしてくれます。

    が、ヴァレンタインにとっては、不平不満をピーチクパーチク、ツイートしているだけに聞こえます。

    そして、「いいなあ、ナイチンゲールは。あんなに自由に不平不満を捲し立てることができて。俺には無理だもの。」

    と思い、そのナイチンゲールが俺の代わりにこの嘆きの気持ちを訴えている気がする、と思うのです。嘆きの心を記録して歌に残してくれないかな、と。

    わには、さらに、いつか誰かが、俺の消息をこの歌で知る日が来るんじゃないのかな、との思いさえ入っている気がします。

    ここまで考えて、やっとこの台詞を言う準備が整いました。

    実際に演じる時は、瞬時にここまでを積み上げ、「どうしたらこの思いを言葉にできるだろうか」と考えながら、言葉を紡いでいきます。

  • 住めば都 [Shakespeare For You]

    住めば都 [Shakespeare For You]

    意図せず森の逃亡者たちのボスになった『ヴェロゥナの二紳士』ヴァレンタイン

    🎭 How use doth breed a habit in a man!

    🎭 今より1000倍も酷い目に遭ってきたもの、
    住めば都、とは言ったものだ!

    【演じ方】

    恋人シルヴィアの父ミラノ大公の怒りを買い、追放になったヴァレンタインはいまや森の盗賊たちのボスに祭り上げられました。しばらくそこで暮らして言った台詞がこれ。

    落胆の中で言っても良いし、諦観して言ってもいい。

    ただし、ミラノにいる恋人シルヴィアのことは忘れません。会いたくて懐かしくてたまらない気持ちをきちんと持って演じたい。

    それでも、水っぽくなったり、辛気臭くなったり、御涙頂戴になったりすると、シェイクスピア的ではなくなるので、要注意。⇦ ここ、日本人の特性なので、観客はそれが好みかもしれない。演じやすいかもしれない。観客の好みに合わせるという選択肢、もちろんあります。

    #シェイクスピア #名台詞 #英語 #演じ方 #ヴァレンタイン #ヴェロゥナの二紳士 #和服

  • 今より1000倍酷い目に[Shakespeare For You]

    今より1000倍酷い目に[Shakespeare For You]

    一難去ってまた一難の『ヴェロゥナの二紳士』シルヴィア

    🎭 A thousand more mischances than this one
    Have learn’d me how to brook this patiently.

    🎭 今より1000倍も酷い目に遭ってきたもの、
    これくらいじっと我慢してみせる。

    【演じ方】

    やっとの思いで父に閉じ込められていた塔から抜け出したシルヴィア、今度は森の盗賊に捕まってしまい、放った一言。

    強いですね〜。
    でもその内心にある恐怖を忘れてはいけません。

    演技のキーワードは「我慢」

    #シェイクスピア #名台詞 #英語 #演じ方 #シルヴィア #ヴェロゥナの二紳士 #和服