一文一呼吸の原則:「。」までに使う息はひとつ
Q: 挨拶もそこそこに、昨日のことを聞きたい時もあるでしょう?そんな時はどうするの?
A: そんな時は、台本が「おはよう、昨日どうだった?」と、読点(トウテン)で繋げてあるはずです。
読点で繋がっている一文は、一つの息でいいんだよ。
「おはよう、昨日どうだった?」は最初から昨日のことを聞くつもりでいていいんだ。メインの文章が「昨日どうだった?」だからね。
一文一呼吸の原則:「、」はこう使う
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Q: 挨拶もそこそこに、昨日のことを聞きたい時はどうするの?
「おはよう、昨日どうだった?」
これは文章が一つです。
これで一文なので、一呼吸で喋ります。
「一気に喋る」とは違いますよ。気をつけて。
Q: シェイクスピアみたいに読点ですごく長く続いているセリフはどうすんの?
答えは次回の動画で!
一文一呼吸:長い文章の場合は?
句点までは、一つの息でしゃべる。
読点のとき、いちいち息を吸わない。
この2点は、わかりましたね?
残念ながら、日本の小学校の国語の授業では、「読点では一回休んで読みましょう」と教えてしまうので、日本人が全員、読点で息を吸う癖を持っています。かくいう私もそうでした。RADA (英国王立演劇学校)で一文一思考一呼吸を習って初めて「喋り言葉で書かれたテンポの良い文章は、そういえばその通りにできている!」と目が開いたものでした。
でも、読点が長く続く文章もあるよね、どうすんの?
はい、ですよね。とくに、しゃべり言葉は「一文一思考一呼吸」という原則を知らずに脳内だけでせりふを構築して書いてしまう作家がいたり、あるいは、翻訳で、日本語に訳すと長くなってしまったり。
以下の文を見てみましょう。チェーホフの『かもめ』から。
「思い出すなぁ、ずっと昔、ママがまだ国立劇場に出ていた頃 – 僕はまだちっちゃくてさ – 僕らが住んでた団地の中庭で喧嘩沙汰があったでしょ、で同じ団地に住んでた洗濯家の女の人がひどく殴られてさ。」
途中で、「ー」つまり、カッコガキのような文章が入っていたり、たいへん複雑です。
実はこれ、私たちも日常でよくやっていることなんです。
漠然と言いたいことがあって、それについてどこからどう喋り始めたら良いかわからない時、こんな感じになりませんか?
このようなときは、まず最初に、この文章で言いたいイメージを掴みます。団地の中庭で洗濯女が殴られた場面を思い出していますね。実はこの話者、とてもマザコンで、ママのきげんを悪くしないように、どんな言い方をしたらいいか、喋りながら考えているところです。
最初に入れる息は「団地の中庭で洗濯女が殴られた場面」。で、喋り始めながら、ちょっとずつ息継ぎをしていきます。喋りたい絵は同じなので。
でも、読点でやたらと息を吸ってしまうと、どんな感じになるか、あるいは、読点を無視して無理に一息にしてしまうとどうなるか、そして、息継ぎをうまく活用しながら、「喋りたい絵」を紡いでいくとどうなるか、それを動画にして解説しました。
ご覧ください。
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