grayscale photo of group of horse with carriage running on body of water

ヨークは嘘つきだ [Shakespeare For You]

こんにちは、三輪えり花です。

今日の運勢に合わせた、シェイクスピアの一言を、お届けします。

🎭York lies; he might have sent and had the horse; I owe him little duty, and less love; And take foul scorn to fawn on him by sending.

#shakespeare #shakespearequotes #dukeofsomerset #henryvi1 

『ヘンリー六世 第一部』から、サマセット公がヨーク公に対して怒っている台詞です。

「ヨークは嘘つきだ、そりゃ軍を出したかもしれん、馬を持っているかもしれん。いや俺にはあいつを助けてやる義理など無いし、それどころかあいつのことが大嫌いだ、なのに奴に媚び諂ってこちらの軍を出してやって、あげく奴に笑われてやろうというのだ」

フランスに進軍中のイングランド人であるタルボ卿を助けてやるには、サマセットとヨークの二人が手を合わせて軍を送るしかありません。が、二人は、喧嘩中で、ヨークはサマセットからの援軍が必要なのですが、サマセットはヨークを助けるなんて真っ平なのです。結果として、タルボ卿は見殺しにされました。

サマセット公(ランカスター家)のシンボルは赤い薔薇、ヨーク公(ヨーク家)のシンボルは白い薔薇です。『ヘンリー六世 第一部』は薔薇戦争の始まりを描いているのです。

ところで、赤薔薇、白薔薇といえば、何を思い出しますか? はい、『不思議の国のアリス』のトランプの女王と薔薇を何色に塗るか、の話ですね。あれも薔薇戦争がモチーフになっています。

シェイクスピアの時代は、二つの薔薇がなんとか婚姻でひとつになって、両家が和解したかのように見えていますが、まだまだ不安定でした。そのせいかもしれませんが、シェイクスピア自身、薔薇戦争の発端からその流れにはたいへん興味を持っていたようです。

『ロミオゥとジュリエット』はイタリアが舞台の話ですが、冒頭のプロローグはこうです。

花の都のヴェローナに、
二つの立派な旧家がありまして、
たいそう昔の因縁からいまだに尾を引く仲違い、
町も市民も二手に分かれて血で血を洗う抗争が、
絶えまなくうち続いておりました。」

シェイクスピアは、薔薇戦争の二つの家の争いの不毛さを『ロミオゥとジュリエット』に託したのかもしれません。

その目で彼の戯曲を眺めてみると、二つの家が争っているせいで起きる事件が、ずいぶんたくさんあることに気づきます。

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