フランス演劇の演出家、岡田正子先生のなさる、ベラ・レーヌ・ワークショップへ行ってきました。
*ベラ・レーヌについてもう少し知りたい方はこちら
ベラが最も大事にしているのは、「心のせりふ」です。
いつも、それがとても具体的に心に流れていなくちゃいけない。
演者が「次は何をしようかな」と心の中で言おうものなら、それは即座に表に出てしまうのです。
セルクル Circle
それをベースにして、演技の領域を広げ・深めていくのが、circle (フランス語発音で「セルクル」)
日常的な軽い、悩みのないせりふが第1セルクル。
何か対象物があって、それに向かって、あるいはそれについて、考えたり喋っているときが、第2セルクル。
その対象物に触発されて、思い出や「そういえば」と夢など、今現実・現在ではないところへ意識が向かうのが、第3セルクル。
第3セルクルから触発されて、何かべつのことに意識が向かうのが、第4セルクル。
今日のテーマは第3セルクルでした。
日常から、
外部の非日常的できごとに気づき、
それに触発されて、
思い出や夢に意識が向かい、
またも外部からの刺激(音や匂い)で
現実に引き戻され、
そのときには、最初の日常とは異なる、
現在抱えている問題に直面する、
というシナリオを先生が与えてくれて、私たちは即興でそれを練習するのです。
(細かく書くと、言葉が足りずに、先生の教えとは、ずれる点もあるかもしれないので、わざと、ざっくり書いています)
日常を軽くするのがまず日本人俳優にとっては難しい。
先生から、現在抱えている問題を提示されると、つい、その問題をどう説明して見せようかと言うところに意識が行きがちで、日常があっという間にどこかへ飛んでしまう。
たいていは、伸びをしたり、首を鳴らしたりあくびをしたりして、退屈な日常を説明しようとしてしまう。
次の問題は、気づきを表現すること。
日本人は、気づきを「はい、気づいた」と心の中で呟くだけ。
それじゃだめなの。
大げさに演じろ、と言っているわけではないのです。
日常ではそうやって心の中に収めてしまって気がつかないふりをしている。
それが自然。
それが、習慣になってしまっている。
でも、子供の頃のように、あるいは犬や猫のように、何かに気が付いた時に背骨が反応する、あれをちゃんとできなくちゃいけない。
ベラ・レーヌは、日常で0.1秒で過ぎ去る「あ」という気づきを、30秒くらいに引き伸ばしてしっかり表現できるか、の練習なのだと私は解釈しています。
わざとらしいテレビドラマやコマーシャルみたいに「あー美味しかった!」と、美味しいふりを大げさにやるのではなく、「あら、美味しい」と心の中で本当にエンジョイしたとき、あなたの瞳は、口元は、心の中は、どうなりますか? を追求していくのです。
久しぶりに、RADA通訳時代のお友達に会えました!
お茶目な時間もありました。
実はLutherヒロシ市村さんも参加。
私の相手役として、空港に来た昔の恋人役として登場。
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