「演技」ってなんだろう?

薔薇の美しい季節になりました。
そろそろマスクを外しても良いんではないかと言う意見も出てきており、だんだん日常が元に戻ってくる予感ですね。


ところで演技って何でしょう?

芝居がかる=演技?

日本語では誰かのインタビューや謝罪会見などを見ると

「あんなのは演技だ」と言ったり、
「芝居臭い、芝居がかっている」と言ったりしますね。

実は、
欧米人の演出家の通訳をしていると、よく
don’t act,
stop acting
と言うのを耳にします。

これは稽古場で俳優が
大げさになったり、
気持ちが感じられないのにそれっぽいふりをしてみたり、
見栄を切ったり、
わざとらしくしたり、
ほらやっていますよと説明しようとしたり
見せつけようとしたりするときに発せられる言葉です。

つまり英語でも日本語でも「演技する・芝居する」との言葉には、

「本当はそう感じていないのにそう感じているふりをしてみせている人」

と言う意味が含まれているように思われます。

本当の演技は、騙さない。

でも本当の演劇人が目指すのは、観客を騙さない演技です。

「大げさ」とは、本人が本当には感じていないのに「こんなに感じてるんですよ、見て」ということです。
嘘っぽく感じられるのが、「大げさ」です。

演技は大げさではいけません。

自然と大きくなるのはいいんです。

大変悲しい事故があって、泣き叫ぶ。
これは自然なことです。
それでそのキャラクターを演じるのは、いいんです。

大げさは、いけません。
いつもより大きく、もダメです。

自然に大きくなるのを目指す。

そこに演技の大変難しいと言われるテクニックがあります。

そのテクニックを教えることができるかと訊かれると、例えば野球選手がいくつもホームランを打つ、そこにテクニックはあるし、体力も訓練もあるんだけれども、じゃあ、テクニックと体力と訓練があれば、誰もができるわけではないじゃないですか。

それぐらい演技も本来は大変優れた芸術なのです。

演じる=その世界を作り出す

演じる。演技者。演劇。

これらの言葉から、「嘘くささ」や「大げさ」などの印象ががはぎとられていきますように。

私たちは物語の中にいるキャラクターを通して、そのキャラクターが生きている世界を作り出す芸術をやっています。

キャラクターを生きるとも言われますが、それは本当はキャラクターの生きている世界をみんなで作り出すことなのです。

【Live Interaction】
大げさではないけれども大きく反応してしまったときのことを思い出してみましょう。


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