地獄の言葉と天の言葉

中房温泉探検記3日目(最終日)をアップしました。
ここが世界中の研究拠点になってもいい素晴らしい場所であることを紹介しました。
中房温泉探検記3日目
 動画もできました↓
中房温泉動画

【Action 目的】

言葉の選び方でその人の人物のクオリテイと本質がわかる。

【How 方法】

例えば、良い演技とは何ですか?という質問をしたとき、あなたはなんと答えますか?

【Live Interaction】

良い演技は、観客にそれを現実のように受け取ってもらうこと、作り事ではない真実味を感じてもらえるような演技のことでしょう。

もちろん、劇の中の殺人も騙し合いも恋愛も、嘘っぱちです。
全く本当ではありません。

本当じゃないことを信じさせるなんて、良い演技とは、観客を騙しているのと同じじゃないですか?

観客や芝居嫌いの人が、そうおっしゃることに対して、私は「はいはい、ごもっとも」と言う以外にできません。

が、もしも演じている俳優が、
良い演技とは「観客を騙すこと」
と考えているとしたらどうでしょう?

どうせ同じことを言うなら、
「観客を信じさせること」
と言う俳優と、どちらが好きですか?

「観客を騙すこと」
「観客に信じさせること」

おなじことですよね。
別の言い方をしているだけです。

けれど、まさにそのスタンスの取り方、視点の持ち方、気持ちのあり様の違いで、なにかが大きく違う。
180度違うと言ってもいい。

例えば災害に対して義援金を出すことを「すばらしい」と言えるか「売名行為」と言ってしまうかで、それを言う人の質が大きく違ってしまう。よろしいですか、その「行為をした人」の質ではなく、その行為をそのように「定義づけた人」の質が問われているのです。

私はこれを、「地獄の言葉」と「天の言葉」と呼び分けています。

地獄の言葉を使いたい人は使えばいい。

ドラマの中には、地獄の言葉を使うキャラクターがいる方が、ドラマが盛り上がります。

が、わたしたち俳優・芸術のクリエイター本人としては、できるだけ、天の言葉を選ぶ人でありたい。

あなたはどちら?


Comments

“地獄の言葉と天の言葉” への2件のフィードバック

  1. 高瀬修司のアバター
    高瀬修司

    なるほど、地獄の言葉/天の言葉ですか。
    先日、例の「ハムレット」の講座で、ついに“To be,or not to be”について受講生と検討しました。
    問題は、「このセリフが誰に向けてのものか」です。作品の解釈が全く異なるわけですから。
    驚いたことに、3名中2名がクローディアスとポローニアスに向けて意図的に聞かせていると考えていたことで、もっと驚いたのが、クローディアスのハムレットを呼び出した意図を彼がわかっており、その上でオフィーリアに「尼寺へ行け!」「罪人の子を産みたいのか!」とまくし立てているという見解がひとり。なぜ? と聞いたところ、「その方がハムレットが格好いいから」。
    なるほど……
    でも、どうやったら観客にキミの意図するハムレットが伝わるだろうかね?
    これで、講座は空転。
    当然、どんな演出をすればいいのかボクにもわからず……
    そこに「天の声」。
    観客を真実の人間がそこにいると信じさせる言葉づかいということでしょうか。
    たとえ、ハムレットがクローディアスの計略を知っていようが知っていまいが、オフィーリアとのやり取りではそこに真剣に向き合いオフィーリアを愛しているけどその愛を断ち切らねばならない。
    特別な演出をするのではなく、相手に真剣に向き合って言葉を交わす。
    そういうことかなぁと。

  2. ELICA MIWAのアバター
    ELICA MIWA

    特別な演出をするのではなく、相手に真剣に向き合って言葉を交わす、まさにその通りです!

    ところで、ハムレットがクロとポロに意図的に聞かせているとの解釈は、もしかしたらブラナーの『ハムレット』を観ているからかもしれませんね。

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