敵は最高の味方1 台本読解をすべき本当の理由

どんな舞台にも映画にも通用する上手い俳優と言われるようになるために必要な5W1Hについてこれまでお伝えしてきました。

キャラクターづくりのために
「いつ When」で
「どこ Where」なのか調べ、
「だれ Who」なのかを 解析する。

演じるために、
そのキャラクターが
「なに What」を
「なぜ Why」
「どのように How」
しようとしているのかを 読み取る。

上記で「解析する」と「読み取る」と二つの異なる単語を使ったことに気がつきましたか?

キャラクターづくりのための「いつ」「どこ」「だれ」は、
とにかく調べまくること。

台本以外を調べる場合がたいへん多く、そして、それをどう活かせるか、生かしどころを探すために分析します。

演者が頭脳と知性をくまなく発揮すべき作業です。

ここを怠ける人はアマチュア以下です(断言)。

一方、演じるための「なに」「なぜ」「どのように」は、
台本の中を調べ、自分も含め登場者の言動から
本当は何を言いたいのか、
深層心理を探ったりするので、
想像力が大いに生かされるところです。

実際に演じるべきところは
「どのように」の部分で、

それを心理的に支えてくれるのが
「なぜ」の部分です。

「なぜ」は気持ち、感情を作り出す
と言ってもいい。

わたしの目に映る下手な演者は「どのように」だけが専門で、
それもキャラクターの「どのように」でさえなく、
演出家の希望する「大きな声で」「熱く」
または
「静かに」「自分サイズで」
を演っているだけに思われます。

これでは幼稚園の学芸会ですね(断言)。
(幼稚園を馬鹿にしているのではなく、思春期を超えてなおそればかりというのは、あなたは幼稚園で「かわいいわねえ」と親に拍手してもらうために演じているのですか、と問いたいのです)

俺はチゲーよ。

そう思ったかた、
「なに」「なぜ」「いつ」「どこ」「だれ」は
十分に調べ分析し
どう使い分けていくかをいつも考え、
それを一人の時でも稽古して
試そうとしていますか?

ね。

「熱く」「大きな声で」にさえ、
キャラクターの「なぜ」を見つけましょう!

なぜ、そのキャラクターは、
その時点で「熱く」なるのか、
「大きな声」になるのか。

その時点で、どうしてもそうならざるを得ない理由は何か。

お客様に聞こえるように、という理由は、
演者側・演出側・劇場側の問題です。
キャラクター本人には関係ありません。

(ちなみに、それを解決するのは、日々の発声訓練です。
必要な方は三輪えり花の【英国の演技術】をお読みください)

そのキャラクターにとって、まさにその時点での「なぜ」はなんですか?

【WHAT 目的】
キャラクターのその時点での「なぜ」を見つけたい。

【OBSTACLE 障害】
台本に書かれていればすぐわかるけど。書かれていないことも多い。

ど、どうすればいいのだ?

【HOW 方法】
そのキャラクターの敵を探す。

はぁ?

【Live Interaction】
「なに」を「目的」と言いますが、「目的」をすぐに達成したいのは、当人。けれど、観客は、そのキャラクターがなかなか目的を達成できないところを楽しむのです。

映画『ダイ・ハード』その典型です、と言えばわかりますか? 主人公はいつも「なんで俺がこんな目に」と言いますよね。ただ旅行に行きたかっただけなのに・・・。なのに「敵」が現れるので、それを「どうにかして」排除するまたは乗り越えようとするわけです。

そう!
わかりますか?

大きな目的「なにがしたい」は「旅行に行きたい」。
けれど
敵という「なぜ」が現れるので、「どうやって」それを乗り越えるか。

それこそが、ドラマそのもの、演技ポイントそのものになるのです!!

あー、すっきり。

ここまでくるのに、長かったですね。

でも、私がこの一連の5W1Hを書き始めた大きな目的は、

「敵は演技の最高の味方」

とわかってもらいたかったからなのです。
でも、そのためには、読者に「いつ」「どこ」「だれ」「なに」「なぜ」「どうやって」という言葉の意味と意義をわかってもらう必要がありました。

次回は、「敵」の探し方についてお伝えしましょう。

これらを文章の解説ではなく、声に出して演じてみることで、明確にできるワークショップを7月にあと2回行うので、よかったら一緒にやりませんか?

初心者歓迎。
めちゃくちゃ面白い短編(日本の戯曲)を演読してみましょう!

下記の日程のいずれかをお選びいただけます。
複数回の参加ももちろん大歓迎!

7月14日(火)11:00~13:00 あと1名、ゆとりあります。
7月18日(土)11:00~13:00 現在満席。調整して2名入れそうです。

詳細はこちらをご覧ください。
https://club.elicamiwa.com/ws/93/


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