あかるい・かるい

Let me give light, but let me not be light

「あかるくなるわ、かるくはならないけれど」

 『ヴェニスの商人』最終場、大富豪令嬢のポーシャが、男装して法学博士になりすましまでして乗り込んだヴェニスでの裁判で、彼女の夫は友の命を救おうとこう言いました、
「親友のお前のためなら、この命も惜しくない、妻の命だって、この悪魔ユダヤ人にくれてやる」

 法学博士としてその場に居合わせたポーシャは、自分が夫の手によって悪魔に売り渡されたことを知ります。

もちろん、言葉の綾かもしれませんが、自分がいないところで夫はこんなに自分を軽んじているのか、と受けたショックの重さは計り知れません。

 夫の親友の命は救えたけれど、自分のこれからの結婚生活に暗澹たる思いを抱いて帰宅したところへ、ちょうどヴェニスから夫が、命をポーシャの扮する法学博士に救われた親友アントニオとともにご帰還。
その夫の声を聞いて、答えた返事が、これです。

 英語の light の意味

light には、軽々と時空を超える「光」「明るい」という意味と、光のように「軽い」という意味があります。

 ポーシャは、夫バッさニオに向かって、「私はあなたに光をあげるけど、私は軽くはなりません」と言ったのですね。

 口先だけにせよ自分を裏切って悪魔に売り渡した夫に対して、明るくふるまい、尻軽女にはなりませんよ、ということばで迎えるなんて、なんてなんて健気なのでしょう!

【今日のライブインタラクション】

裏切られても笑顔でいましょう。その方が絶対に得です。


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