音楽が人を変える力
クリスマスも近づき、街は音楽に溢れてきました。今日は音楽の力のお話をシェイクスピアから。
『ヴェニスの商人』最終景は、離島ベルモントのポーシャ邸、夜の庭。
場面設定
昔、ロンドンのロイヤルナショナルで観たい時は、イタリアンヴィラの豪邸で、実際に水の入ったプールの、プールサイドが舞台装置でした。
(はい、私が兵庫芸術劇場で上演した『十二夜』で舞台にプールを作る案の元ネタと言って良いでしょう)
ポーシャは変装してヴェニスに行ってしまったので、留守を預かるのは、シャイロックの娘と駆け落ちしてきたロレンゾのカップルのみ。
明日が結婚式。その前の晩、豪邸に二人きり。
大変ロマンチックな状況です。
心理的背景
が、シャイロックの娘ジェシカは愛を語るどころではありません。何しろ自分の父親が、合法的な殺人を犯す、自らの手でアントニオの肉を心臓から抉り出そうとしているのですから。
いくら駆け落ちしたからといって、親子の情は綺麗さっぱりというわけにはいきませんよね。
愛を語るどころではない許嫁の気をなんとか自分に引き戻そうと、ロレンゾは、前回お伝えした、あの、最も美し台詞のひとつ、「岸辺にまどろむあの月の」から始めて、ポーシャのお抱え楽団に音楽を奏でさせます。
が、ジェシカは
I am never merry when I hear sweet music.
「音楽を聴いて楽しくなったことないの、私」
ロレンゾはそこで、音楽の力 the sweet power of music を力説します。
The Sweet Power of Music
「音楽は荒い気性の動物さえ大人しくさせる」
「音楽はしばしの間でも、変えられないと思えるくらい頑固な気性を変える力がある」
だから
Mark the music.
「あの音楽を聴こう」
(今流れているあの曲に「注意をかたむけろ」が mark の意味。それは演技であらわせるので、台本翻訳としては、シンプルに「聴こう」としました)
【今日のライブインタラクション】
今日はなんの音楽を聴きますか?
#ヒューマンネイチャー
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