『ヴェニスの商人』愛しのバッサニオをヴェニスへ旅立たせる前に、ポーシャはこう言いました。
「あなた、教会で式を挙げたら、直ぐにヴェニスのお友達の元へお行きなさい。あなたが戻るまで私は未亡人として尼僧院で暮らします」
これ、日本人にはとってもわかりにくいと思うんですが、「教会で式を挙げる」=「結婚した」と思いますでしょう? ところが、キリスト教においては、
「結婚」=「神様の代理人を通して神に、この人と家庭を持つという契約をしますと誓う(精神的に結ばれる)」+「実際に肉体的に結ばれる」
つまり、夜にあれこれして初めて、神様との約束が履行されることになるわけです。
「教会で式を挙げたら直ぐに」本当は夜のあれこれをしなくてはならないはずなのに、ポーシャはバッサニオをヴェニスへ送ります。
これはつまり、神様との約束を半分しか果たしていないことになるわけです。結婚式はしたから「妻」という立場ではあるものの、肉体的に結ばれていないのでまだ「娘」。しかも普通は夫と妻は常に一緒に行動するものなのに、夫を一人ヴェニスへ送り出してしまうのは、ポーシャにとっては夫を失ったも同然な気持ちです。
それゆえ、「尼僧院で未亡人として暮らす」という選択をするわけです。
キリスト教社会のルールは、ややこしそうですが、結婚についてのこの方程式↓
結婚=精神的結合(式)+肉体的結合(初夜)
とわかっていれば、『ロミオとジュリエット』もほかの映画やドラマの構造もわかりやすくなります。
【今日のライブインタラクション】
結婚をテーマにしたヨーロッパ映画を見てみましょう
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