シェイクスピアは観て楽しめる(お客様の感想)

先日の音楽劇『ヴェニスの商人』、

お客様からの感想をいただきました。

私は直接存じ上げないのですが

「見てきたよ」とお友達にお伝えになったメールを

そのお友達が私に送ってくださった、

その抜粋です

さて、いよいよヴェニスの商人の始まりです。

アントニオとロレンゾの会話から始まりました。

ロレンゾは『シンデレラ』

(今年3月まで2年間に亘り山梨県で

上演したミュージカル)の

大臣役の土橋さん、

シャイロックの娘ジェシカと

駆け落ちします。

二人共歌がとても上手でした。

バッサニオとアントニオの友情は

大人版の走れメロスのようだ

と一緒に行ったシェイクスピアファンの

ヤマちゃんの解説。

ルーサーさんのはまり役のシャイロック、

渋くて、悪くて陰険で!

対するアントニオとの間に

火花が散ってました。

ポーシャ役の三輪さんの美しいこと!

真紅のドレスにパールのネックレス。

なんちゃら王子かんちゃら伯爵の

箱選びに右往左往する姿が

私のイメージしていたポーシャと違い

人間らしかった。

バッサニオが見事、箱選びに

成功した直後

アントニオの危機が知らされます!

悪い悪いシャイロックは執拗なまでに

アントニオの身体から

1ポンドの肉を欲しがります。

娘にさえ裏切られた

孤独なシャイロックは

その悲しみ、怒りを全て

アントニオにぶつけているようでした…。

よく見てくださっていますね!

さすがです。

次は、もう一人の方の感想です。

今日は〇〇さんと私は

なおみん(上記ミュージカル

『シンデレラ』で、

ネズミのポコリット役を演じたかた)

の分身になった思いで観てきました。

なおみんの思いも会場に

一緒に連れて行きました。

裁判官ポーシャの登場です。

髪を束ねてつけ髭をつけ、

宮殿の高ーいカーテンのような

上着をまとっての登場でした。

二コニコしているネリッサとは

反対にポーシャはどぎまぎ

している様子でした。

金はいらぬ!

1ポンドの肉をよこせ!

と迫るシャイロック。

法律通り!

と発言するポーシャ、

しかし夫の友人を救うため

徐々に勇気を出し考えながら

裁判を進めていきます。

そして血を流さずに

1ポンドきっかりの肉を

取り出す事をシャイロックに

明示します。

三輪さんのポーシャは

実に人間らしいのです。

この時のポーシャは男性以上に

堂々としていたのです。

つまり最初から

血を流さず

1ポンドきっかりの肉を

取り出す

という作戦はなかった

と私は思うのです。

裁判のやり取りの中で思いついた

ような演出でした。

人は愛する守るべき存在があると

こんなにも知恵が勇気が湧くのだ

と実感しました。

裁判の最後にシャイロックの

全ての財産の半分が国の物となり、

残りの半分はアントニオの物となります。

シャイロックは全ての財産を失い

打ちのめされます。

その時

シャイロックを憎んでいたはずの

殺されかけていたアントニオが

財産をシャイロックの娘、婿に与える

と発言します。

彼はシャイロックを許すのです。

ここにアントニオの強い慈悲を

感じました。

人間の心の偉大さは無限なのだ

とシェイクスピアからの

メッセージを受け取ったような

思いがしました。

いつ「血を流しちゃダメよー」作戦を思いつくのか

は、常に問題となります。

私は演出家として、

観客もびっくりするほうが面白いだろうと、

ポーシャが絶体絶命になるところ

まで追い込むほうがお芝居は面白くなると考えます。

そこをよく見てくださり

嬉しい限りです。

ちなみに、それらは、演技のみで表現します。

ゆったりと偉そうにもったいぶって

「この証文は血を流すことには触れていない、切り取る肉はきっかり1ポンド」

と言うと、いじめを引き延ばす、

意地悪な猫のような

ポーシャになってしまいます。

一方、同じ言葉を、

証文を見ながら大発見したように

言うと、

上記のような、

今ここで思いついた苦肉の策!

感が出るのです。

さて、次の感想を見てみましょう。

はーい「ヴェニスの商人」笑いあり感動あり、

三輪さんの脚本に

シェークスピアの見方に

新発見がありました。

私達が読みあったなかで(このグループの方は

『ヴェニスの商人』の朗読勉強会をしていらっしゃるようです)

見えていたポーシャが

迷いながらも

愛する人を守りきった

人間味あるかっこ良さ

ポーシャの鋭い切り返しに

シャイロックもタジタジでした。

帰りには自分のカバンにつまづき

ヨロヨロしながら去って行く

シャイロックの後ろ姿に思わず、

がんばって!

と妙な掛け声を発するところでした(笑)

さすが、ルーサーさん上手い(!!)

ポーシャの宮殿に帰ったバッサニオが

ポーシャの送った指輪を着けていない事で

ポーシャが怒るシーンは可愛らしかった。

劇中歌の

歌を唄わない人は…の歌詞が

(よく思い出せないのですが)

心がないから…みたいな感じだった

と思うんですが。

三輪さんの強いメッセージを

感じました。

アントニオがシャイロックを許した

とかきましたが

残りの財産を

娘、婿に与えるのは

シャイロックの死後

と言う事でした。

どうなんだろ?

シェイクスピアに聞いてみたいです。

もう一つ、

シェイクスピアは難しい

という私達に

三輪さんは

わかりやすくしてくださいました。

三輪さん自身も

難解で古臭い

と誤解されていた

シェイクスピアは

実は現代人の生きる哲学、

毎日使えるコミュニケーションの

指針である

と気づいたとおっしゃっています。

これは凄い事です!

てーへんだ!てーへんだ!です(!!)

難しい事を難しく説明する事より、

難しい事をわかりやすく簡単に

噛み砕いて説明する事の方が

はるかに難しいからです。

三輪さんはきっと

シェイクスピアを私達、

大衆の手に取り戻そう

としてくれているのだ

と思うのです。

その意味でもなおみんが中心になって

私達が学んでいる事って

凄い事なのかも(!!)

ありがとうございます。

難しいシェイクスピアは

本当はとっても親しみやすい。

それを芝居として観ながら

わかってくださった

そう伺って、とてもとてもうれしいです。

さて、アントニオが

シャイロックの財産を

シャイロックの死後、

娘夫婦に渡すというくだり。

シャイロックの財産の半分の

国庫没収は無しになりましたから、

シャイロックは、また仕事を始める元手は

あります。

残りの半分をアントニオが

「もらう」わけですが

彼はそれをシャイロックの死後に

娘夫婦に渡す、と言う。

これは一種の信託財産分与です。

娘のジェシカは駆け落ちしたので、

法律上、シャイロックの遺産を

受け取ることができません。

アントニオはそれを思いやって

自分が財産を管理してあげれば

シャイロックが死んで残した

莫大になるだろう資産が

引き取り手のないまま

国庫に吸い上げられることが

ないようにしたのです。

ここは説明がないと

ちょっとわかりにくかった

かもしれませんね。

それにしても、

嬉しいありがたい感想の数々。

とても励みになります。

ありがとうございました!

演出・翻訳・ポーシャをやって本当にわたしにも学びになりました。

次は来週の太田川の精霊です。

感動と希望をぜひ受け取ってください。


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