ギリシャ神話とシェイクスピア

『ヴェニスの商人』はワクワクする名言がいっぱい!

箱選びの場面で、大富豪令嬢ポーシャを射止めようとしているバッサニオは、金の箱を前にして、

美女に見えてもその美しさは上部の厚塗り

と呟いた、と前回のレッスンでお伝えしました。

その後、彼はこう結論づけます。

The seeming truth which cunning times put on
To entrap the wisest. Therefore then, thou gaudy gold,
Hard food for Midas, I will none of thee.

英語がカッコ良い!

The seeming truth 見た目の真実
To entrap the wisest 最も賢い者をも罠にかける

2行目の途中からの文章、
Therefor then, thou gaudy gold
は音の連なりにご注目。

日本人の苦手な th が三度も続きます。

「それなら、じゃあ、おまえは」という意味

そのあとの、gaudy gold (ゴーディ ゴールド)も音が面白いですね。

thou gaudy gold は、「けばけばしい黄金というおまえ」という意味で、黄金を擬人化して話しかけているわけです。

さらにそれを、
Hard food for Midas
とイコールで結んでいます。

「ミダスの硬い食べ物」

わかりますか?

ギリシャ神話のミダス王、手に触れるものを全て黄金にしてくれ、という望みを叶えてもらい、食べ物を食べようとしてもすべて黄金に変わるから食べることができず、という逸話を使っているのです。

ここは、バッサニオが、黄金の箱に向かって、

Thou
= gaudy gold
= hard food for Midas

「おまえ、けばけばしい黄金よ、ミダス王の食えない食い物よ」

と話しかけている絵が出来上がります。

(ちなみにMidasの当時の発音は、「マイダス」)

私ね、シェイクスピアをやっていて、こうやってギリシャ神話だのキリスト教だののあれやこれやの知識を積んでおくと発見がたくさんあるのが好きなんです。

発音した時の音の類似や雰囲気の発見も好きなんです。

知識を積み重ねると、芸術作品を作者と一緒に楽しむことができる、そうするととても面白いんです。

そして、それが、ふとした出会いでの会話の中で生きて来る日がかならず、あります。

【今日のライブインタラクション】
ミダス王の神話を読み返してみよう


Comments

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA