『ヴェニスの商人』の箱選び、いよいよポーシャが密かに想っているヴェニスの貴族バッサニオがポーシャの家に乗り込んで来ます。
そのとき、彼の来訪を告げる召使いはバッサニオのことをこう表現しました。
“A day in April never came so sweet”
「4月のある1日は、彼ほど甘くは来なかった」
いやはや、直訳の日本語じゃさっぱり意味がわかりません。
なんども言っていることですが、
”Good morning”
を、「良い朝」と直訳しても、それじゃ意味が違うのです。
まず、なぜに「4月」なのか考えます。
イングランドでは、冬が終わって、March (3月)、April(4月)、May(5月)が春。
3月は、まだ春が行進(マーチ)してやってくる、冬との境目。
4月は、冬が完全に去って、嬉しさのあまり狂喜乱舞する感じ。
よって、4月1日は、みんな馬鹿みたいに喜び騒ぐので、エイプリル・フール(馬鹿)
5月は、バラの花が咲いて、やっとのんびり春を楽しめる季節の感じ。
イングランド人にとって、April の到来はとびっきり嬉しいことなのです。
ポーシャだけじゃない、このお城のみんながバッサニオを待ちわびて、それがとうとうやって来た。その嬉しさを、召使いまでもが感じているのです。
“A day in April never came so sweet”
は、私なら
「春の日も彼ほど爽やかには現れますまい」
もっと短くして
「春の日も彼ほど爽やかではありません」
いかがですか?
Sweet は「甘い」ですが、日本語で、春や男性の登場に「甘い」という形容詞はなかなか使わないので、「爽やか」にしてみました。
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