be a boy 男装する気分

『ヴェニスの商人』のポーシャは、新郎バッサニオをヴェニスへ行かせた後、自分は男装してヴェニスの法廷に乗り込みます。一体どんな意図を持っていたのでしょう?

ズボンを履くことについて

私は仕事柄ほぼジーンズで一年を過ごします。が、女性がズボンを履くようになったのは、つい1940年代のこと。それまでは、ズボンを履くなんてとんでもないことでした。乗馬でさえ、ドレスのまま行ったのです。

ズボンを履いて、スカートから解放されるのは、さぞや良い気分だったに違いありません。足にまとわりつかない。大股でサクサク歩ける。服がひっかからない。足を開いても、何かをまたいでも、泥道でも平気。

身動きの軽さは心の軽やかさを産みます。

身分を偽るのは大きな罪

心が軽やかになるのは良いけれど、シェイクスピアの時代は、身分を偽るのは、嘘をつくのと同じ。嘘はキリスト教では最悪の罪のひとつです。

さらに、女性は男性よりも下の身分。下の立場の者が上の身分を得るのは、嘘の罪に加えて、反逆罪にも通じます。バレたら相当やばい。

男装する気分とは

そう、気分が良いと同時に、嘘をついているという大きな罪悪感があります。けれど、バレないことがわかったら、徐々に気が大きくなってくるでしょう。ポーシャもきっとそのような心の旅をしたに違いありません。ポーシャのみならず、男装する登場人物はシェイクスピアには『十二夜』『お気に召すまま』に出てきます。ちなみに『ヴェニスの商人』では、シャイロックの娘ジェシカも男装して逃亡しますね。

【今日のライブインタラクション】
変装してみよう。サングラスでも帽子でもかつらでも。現代ではもう罪ではない。違う自分を味わってみましょう。


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