広島の日が近づいて来ました。
昨日は世田谷パブリックシアターにて『この子たちの夏』という朗読劇を観劇。
広島と長崎で被爆した子供達と母親の手記を朗読するものです。
大勢の人が、自分が誰なのか、相手が誰なのか、わからなくなりました。
外見だけではなく、人間としてのアイデンティティが失われてしまったのです。
「私がわかりますか?」
これは人間の根本の問いかけでしょう。
『ヴェニスの商人』2幕2場で、しばらく父親から離れていた息子が、瞽いた父親に再会して震えながら尋ねる言葉があります。
”Do you know me, father?”
「俺がわかるかい、父ちゃん?」
父親は答えます。
”Alack, sir, I am sand-blind, I know you not.”
「情けないことに旦那、わたしゃまるっきりの瞽になってしもうて、お前さんがわからない」
なんと悲しい答えでしょう。
コミックな場面に突然挟まれるこの感動的な対話は、演出もとても難しいものです。
Know は、学校で習う意味は「知る」ですが、実際は「わかる」「わかっている」で使う方が多いことに、イギリスで暮らしていて実感しました。
【今日のライブインタラクション】
あなたにはあなたがわかるか、心の中で訊いてみよう
追申
今回、同じイベントで、ロンドンから女性プロデューサーが来日して、地域の人々で記憶の継承をしていく芝居作りについて語ってくれました。
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