ロンドン発、地域で記憶を語り継ぐ芝居作り

マリゴールド・ヒューズという演劇プロデューサーが国際演劇協会の企画で来日しています。

2018/08/04は、世田谷パブリックシアターで『この子たちの夏』という原爆体験者の手紙朗読の劇があり、マリゴールドさんがそれに合わせて戦時下のイギリスとヒロシマを軸に反戦と演劇を語りました。
ロンドンは英語圏の国として大空襲を経験している唯一の国です。
街が数時間で焼け野原になり、何も残らなかったことを経験していることから、ほかの英語圏の国家以上に、ヒロシマのことも全くの他人事とは思えないのかもしれません。
大和日英基金から補助を得て、『ヒロシマの孫たち』という舞台を数年前に広島で作ってくれました。
マリゴールドさんはそれ以前に、『ロンドン空襲の孫たち』という作品を、ロンドン空襲の経験者を子供たちがインタビューし、それを劇にする活動をしたのです。
それを、彼女は

Vernacular Theatre と呼んでいます。

その方法を、『ヒロシマの孫たち』でも使いました。
ステップとしては、

その1  Forging

材料集めです。
被爆者が、被爆した年齢の子供にインタビューしてもらいます。その年齢の話すことで、封印していた記憶を取り出してくれるかもしれないからです。
インタビューをする子供たちがオープンだったからこそ、答える被爆者もオープンに答えてくれたそうです。

ステップその2 Prepping

素材を形づくる段階です。

クリエイティブチームを作ります。
インタビューを戯曲にする劇作者、演出、デザインなどを集め、参加者たちと一緒に台本化します。
子供の大きさほどのパペットを使ってのワークショップをやったそうです。知っている人と知らない人との分断から離れるため、ゲームをたくさんやって、全体で作っている感覚を持つようにしたそうです。

ステップ3 Writing the Recipi

レシピ作り
下書きから全員で共有して見直します。

ステップ4 Cooking

調理という名のリハーサルです。
ヒロシマの和室で三週間。
中学の同級生が被爆後にどんどん人数が減っていった事実を、集合写真の顔が減っていくことで示しました。
兵士適性テストで、視力検査で見えないと嘘をつき、兵役を免れた人がいたこと、
瓦礫から埋まった子供を助け出そうとした母親の話、
などをどう身体表現していこうか、
演出家がやり方を指示するのではなく、子供を含めた参加者がアイデアを出し合って作っていきました。
参加者である子供たちは、このプロジェクトを通して、戦争をしない世界にするには、について自発的に考えるようになりました。

ステップ5 Feasting

祝宴という名の、公演です。
地元の人たちによる地元の物語を共有する場です。
なるほど。
このような方法で当事者意識を継承していくのですね。
私は、広島の川、太田川を演じるにあたり、当事者意識を持つために、原爆の日の広島へ行ってきます。

平和であり続けるために、皆さんは、当事者意識をどうやって持ちますか?


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