対句に隠された心理【シェイクスピアの演技術】

シェイクスピアは原語の触れておくと理解できることがたくさんあります。

対句と呼ばれる言葉の使い方から、演技の種を見つけましょう。

『ヴェニスの商人』第1幕第3場、シャイロックが、利子なしで三千ダカットをアントニオに貸すことにした話題の後、彼は去ります。

そこの英語を見てみましょう。

シャイロック

I ‘ll be with you.

アントニオ

Hie thee, gentle Jew.

The Hebrew will turn Christian, he grows kind.

バッサニオ

I like not fair terms and a villain’s mind.

アントニオ

Come on, in this there can be no dismay.

My ships come home a month before the day.

各文の最後の単語に注目してください。

you,

Jew

kind,

mind

dismay,

the day

母音の終わり方が同じ音で、対になっています。

次の科白を言う人が、直前の科白を行った人の気持ちに付き合っている、或いは、寄り添っていることがわかるのです。

アントニオがシャイロックの最後の単語と同じ音を返すのは、彼のお遊びに付き合ってやるよ、という気持ちの表れです。

バッサニオがアントニオの最後の単語の音と同じ音を返すのは、それによって、俺はお前のことを心配してるんだぜと言うことをより親近感を持って伝えるためです。

アントニオが最後に自ら、対の音を使うのは、遊び心が生きているからです。

なかなか翻訳に表せないのですが、このようなことを知っておくと、演技をする際に、どんな心でそこにいれば良いかがわかりますね。

シェイクスピア遊び語りの稽古風景。オセロウのはずですが何故かコミック。。。


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