本物の照明家 佐藤壽晃

まだデビュー前に通訳・演出助手をしたモーツァルト劇場『孤児・ファン・トゥッテ』か、もしかしたら次の年のオペレッタ協会の『小鳥売り』でお目にかかり、以来、仲良くしていただき、照明についてたくさんのことを教えてくださった、舞台照明家 佐藤壽晃先生がお亡くなりになりました。脾臓癌でした。
 
私の作品では劇団昴の『ドリー・ウェストのキッチン』と宝塚クリエイティブ・アーツで大浦みずきさん主演の『ジュリアス・シーザー』で美しい照明を作っていただきました。
 
『ドリー・ウェストのキッチン』では、三百人劇場のなだらかな客席の上部から床面を見下ろしても美しく映えるものを。
特に海の浜辺で、登場するカップルたちそれぞれの静かに燃え上がる葛藤を、青い波で表現してくださったこと、
葬式の棺が行列を作って動いていくのを、何もない舞台の上で(私の舞台装置は、「何もない」が多い)、ただ照明だけで心象を表現してくださったこと、
素晴らしかったです。
 
『ジュリアス・シーザー』は、シアター・カイを全方向から見る、土俵式の舞台にしたので、全方向の客席は下から上を見上げる視線になります。
全方向から、俳優のムーブメントと顔を照らし、かつ、シーザー暗殺前夜の暗殺者たちの心の葛藤のムーブメント、暗殺時の街の混乱、ダンスムーブメントになった戦の場面、ブルータスの前に現れるシーザーの亡霊、さらには、全方向から登場・退場する俳優たちの行列、など、本当に素晴らしい絵を作ってくださいました。
 
脳梗塞や骨折など、大きな怪我や病を次々に乗り越えて来られた、心身共に頑強なかたでしたので、安心しきっておりました・・・
 
ご冥福をこころよりお祈り申し上げます。

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